クラシック音楽TVアニメ動画ランキング 14

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のクラシック音楽成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月05日の時点で一番のクラシック音楽TVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.6 1 クラシック音楽アニメランキング1位
四月は君の嘘(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (5081)
20200人が棚に入れました
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった元天才少年・有馬公生。モノクロームだった彼の日常は、一人のヴァイオリニストとの出逢いから色付き始める。
傍若無人、喧嘩上等、でも個性あふれる演奏家・宮園かをり。少女に魅せられた公生は自分の足で14歳の今を走り始める。

声優・キャラクター
花江夏樹、種田梨沙、佐倉綾音、逢坂良太、早見沙織、梶裕貴
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

『愛は地球を救う』的なアレ

名作、と一般的に呼ばれてはいるものの、僕的に
 『いやいや、そんな言うほどいいもんじゃないでしょ』
というアニメが、いくつか存在いたしております。

本作『四月は君の嘘』はその代表格というか、
ぶっちぎりの一位作品でありまして、
見返すたびにアラが見つかってココロがささくれ立つ一本です。

もちろん、同作に熱狂的なファンが多いことは存じ上げておりますし、
その方々の思いを否定するつもりは毛頭ありません。
僕が言うのは「こういう角度からだとこう見える」という話に過ぎず、
どんな角度から見るかなんて、100%、個人の自由です。
そこに正誤だの良し悪しだのは存在しない、と僕は考えております。

  ただ、自分が好きなものを悪く書かれて気分がいい人なんてイナイ、
  というのも真なり、です。

同作に関わる美しい感動・印象を断じて犯されたくない、
そういう思いがある方は、
この先を読まれないことを強くおすすめいたします。

根拠もなくイチャモンを並べ立てる、みたいなことはしていませんが、
かなり『辛辣な表現』になっておりますし、
そのことで誰かの心を傷つけるのは、僕の本意ではありません。

ほんと、あくまでも「僕の角度からだとこう見える」という話でして、
ムリして読む必要なんてありませんから、
不快な思いをしたくない方は、どうぞお引き返しくださいませ。

警告は致しました。では、遠慮なく……


  身体障害者や余命宣告を受けた方々を安易に扱い、
  感動コンテンツとして消費している作品を、
  巷では『感動ポルノ(Inspiration porn)』と呼んだりします。

  もちろん、そういう方々と真摯に向き合い、
  目を逸らしたくなるような現実を繊細に描いていくことによって、
  芸術と呼べる域まで達した作品はたくさんあります。

  そうした作品と『感動ポルノ』の分水嶺は、
    作品を通じて伝えたいこと、訴えたいことの有無や深さ
  だというふうに、僕は考えています。

  残念ながら本作は後者の方かと。
  作品として『伝えたいこと』なんてリッパなものはありません。
  (少なくとも僕には伝わってきません)

  きれいで頑張ってる少女が死んじゃったら『かわいそう』なのはあたりまえ。

  プロフェッショナルのモノづくりとか物語づくりというのは、
  その『かわいそう』という共通認識をフックとして、
  なにを描き、なにを伝えようとするか、
  それらを通じて『なんのためにその作品を創るのか』を突きつめていく、
  そんなところがキモであると僕は愚考するわけです。

  ところが本作は、その『かわいそうさ』をアピールしているだけ。
  それっぽく聞こえるだけの言葉を並べ立て、
  人のカタチまでも不自然に歪め、
  ほらほら、こんな頑張ってるのにかわいそうでしょ、泣けるでしょ、
  そんなふうに物語を飾り立てているだけなんです。

  そこには何のメッセージもありません。

  作画がかなりイイので誤魔化されがちですが、
  そこに気がついちゃうと、少なくとも僕はダメです、ダメでした。
  作家の「カンド-作品として他人から評価されたい」という、
  『エゴ』や『自己実現欲求』ばかりが鼻について、
  とても泣く気にはなれません。

で、総論的に『ダメだダメだ』と言われても、
とてもじゃないけどナットクできる話ではないと思いますので、
ここからは総論や抽象論ではなく具体的に、
  どこがどう、なぜダメなのか
というポイントを列挙してまいりたいと思います。



【1.オマージュにおいて、引用元への理解・リスペクトがナイ】

リアルタイムで本作がはじまったとき、
僕はほんとうに、めちゃくちゃ気に入ってたんです。
友人にも「今期No.1はダントツでこれじゃね?」とか言ってましたしね。

作画はきれいだし、音楽も楽しいし、人物造形もしっかりしている。
ときおり「はあ?」とは思わされるものの、
そんなものを吹っ飛ばすぐらい、作品に『いきおい』がありました。

その評価にはっきりと『?』がついたのが、
第八話、井川絵見が演奏する『木枯らし』でのモノローグです。
ネタバレレビューを読む


【2.音楽の扱いがザツ・オンガク論がいいかげん】

これも回が進むにつれて印象が変わっていったポイントであります。

視聴開始当初、僕は本作のことを
  『ちゃんとオンガクと向き合った、ホネのあるアニメ』
だと思っていたのです。

ほんとそう思っていたのですが、回が進むにつれ、
その扱いがザツなところとか、
言ってることがいいかげんなところとか、
そういうのが鼻について、作品自体を楽しめなくなっていきました。
ネタバレレビューを読む


【3.病気と真剣に向き合っていない、デッチあげている】

宮園かをりの病気はいったいなんだったんだ、
なんていう議論じみたものがネット上に出回っています。
  ・白血病
  ・脳腫瘍
  ・パーキンソン病
  ・ALS
  ・SCD(脊髄小脳変性症)
  ・筋ジストロフィー
なんていろいろと候補が上がっていますが、
どれも「この症状はあてはまるけど、この症状や治療はあてはまらない」
ということで、結論は『わかんない』になっています。
ネタバレレビューを読む


【4.言語表現がチンプ、言ってることが支離滅裂】

これは原作者さんのクセだと思うんですが、
ものごとを『詩人』っぽく表現しようとして、
言葉選びでコケてるところがけっこう多いんですよね。
ネタバレレビューを読む
まあ、そういうのはただ『こっぱずかしい』だけなんですが、
それだけじゃなく、
根っこの部分で『?』となる表現も散見されます。
ネタバレレビューを読む


【5.人のカタチがご都合主義で崩壊していく】

ここまでごちゃごちゃ書いてきましたが、
それでも『人のカタチがちゃんとした、ドラマとして成立している』作品なら、
僕は物語の評価に『2』なんてつけません。

ですが、その『人のカタチ』が、回を追ってぐちゃぐちゃになっていくんですよね。
これは言いたいことが山ほどあるんですが、
長くなるので(ここまででも充分長いですし)
物語の最終盤、21話と22話にしぼって言及させていただきます。
ネタバレレビューを読む


というわけで、僕的なおすすめ度はCランクです。
映像がかなりきれいなので総合満足度が3.4になっておりますが、
心証的には2点台がいいところの作品かな、と。

内容的には、ど直球の感動ポルノ。
  病気にも、
  音楽にも、
  人の死にもカタチにも、
ろくに向き合わず売れ線だけを追求した会心の一本です。

おそらくは、原作の抱えた問題をそのままアニメに完コピ(原作未読)。
監督のイシグロキョウヘイさんは、
内容のなさを映像でカバ-しようとしすぎかと。

  これが初監督作品でいろいろ気を使ったのはわかりますが、
  原作者の新川直司さんだって、
  初のアニメ化作品だったわけですしね。

  講談社の版権担当は最初とっつきにくいけど、
  強気にいったらけっこう話聞いて親身になってくれるし、
  (昔は、ですね。いまもそうなのかな?)
  ちょっとこれおかしいんじゃね、と感じるところは
  もっとゴリゴリいくべきだったと思います。後の祭りですが。


ただまあ、板もマンガもけっこう売れたようで、
ビジネス的には成功作品です。
カネ目当てで作った感動ポルノでお金がたくさん入ってきたんだから、
そこは「よくできました」と誉めてあげるところかと。
流れで『いちご同盟』がそこそこ売れたのも、よき。

現実論として、こういう作品の需要があることは誰にも否定できません。

ぶっちゃけたハナシ『いちご同盟』みたいな
  悲しい・可哀そうという表層を超えて突きつけられるなにか
が含まれているコムズカシイ作品よりも、
  うんうん、好きな人が死んじゃったらつらいよねえ。
  うんうん、支えてくれる友だちや仲間はダイジだよねえ。
  うんうん、打ち込めるものがあるっていいよねえ。
みたくアタリマエのことを目先を変えた言葉で語った作品の方が、
市場に受け入れられやすいのは『事実』です。

マ-ケットにおいて『感動』は『消費するモノ』なんです。

消費財としての『感動ポルノ』のどこがワルいんだ、と問われれば、
実際のところ、どっこも悪くなんかありません。
それは『良し悪し』の話ではなく『好き嫌い』の話でしかないんですよね。


  僕は、あくまでも個人的にですが、
  アニメが『消費財』ではなく『文化』であることを願っています。
  ですから、音楽や人の生死にかかわる作品は、
  きちんとそれらに向き合い、
  物語に芯なり骨格をちゃんと通して届けて欲しいと思うんです。

  ただ、そういうのは現場を離れたから言えることであり、
  それができるんならトックにやってんだよ、
  というのは、現場を預かる方の多くが声を大にして言いたいセリフだろうなと。

    そんなもんは、チンプな理想論に過ぎね~よ。
    こっちゃビジネス、食い扶持かせぎでやってんだよ。
    みんなが「いい」と言ってるのに、なにカッコつけてんだテメエ。

  というのは、ある意味『正論』なんです。
  ……いや、そうじゃないな、自分を正統化したがっちゃってるな。
  そういうのは、ほんとうに、イタいほどの『正論』なんです。


つまるところ、世間一般からしたら『たかがアニメ』なんですよね。
ですから、僕が言っていることは、
しょうもない一個人の、しょうもない感傷論みたいなものに過ぎません。

でも……ですね、

  その『たかがアニメ』に全てを賭けている人たち、
  命を削るようにしてモノづくりに打ち込んでいる人たちがいることを、
  ほんの少しでも考えていただけたら、
  そんなふうに考えてアニメを見る方が一人でも増えたら、

     僕としては、とても、とても幸せだなあと思います。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 29
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

いろいろ良かった!

 初見でした。全22話。音楽で紡ぐ生と死と恋のお話。
 すごかったですね。素晴らしかった。ストーリー自体は奇をてらったものではないですが、演出関係が充実していたので非常に楽しめました。まだ見てない人は、すぐにでも見たほうがいいかもね。そう思える作品です。イシグロキョウヘイ監督の要チェックリスト入りが確定しました。

 視聴後にマンガ版を大人買いしたので、ちょっとだけ比較が入っています。敢えてマンガ版とアニメ版の完成度を比較するなら、アニメ版の方が上だと思います。再現率が高いのでマンガ版の良さが損われていないですし、ここにアニメ独自の演出が効果的に乗ってくるからです。
 各論と総論に分けて記載していきます。長文なので暇人向け。もちろん既視聴向け。


各論編:ネタバレレビューを読む

総論編:ネタバレレビューを読む

おわりに:ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 21
ネタバレ

ウル さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

登場人物一人ひとりに共感出来た作品 

この作品は好きすぎて、どうレビューすればいいかわかりません。
少しずつレビューを書いていけたらなと思います。
この作品が苦手だなと思う人の考察もしながらレビューしていこうかなと思います。
多分かなり長文になりますので時間がある人が見ていただけたらと思います。

まず、私は恋愛系のフィクション作品はあまり見ません。
都合のいい展開が多すぎてあまり世界に入っていけないのが理由のひとつです。
勿論、面白い作品も知ってますが最初は期待せずに見ました。
パッケージの絵もあまり好みではありませんでしたし。
なので絵が好みじゃないって人も一回見てほしいです。

最初に思ったのがパッケージよりアニメーションで動いているキャラクターのが魅力的であったことです。
普通は逆なことはあってもこんなことなかったのでびっくりしました。
正直、見始め2話ぐらいは少し退屈に感じることもありましたが、演奏場面やモノクロの世界観とカラフルな世界観。
そしてなにより、演奏場面の作画が綺麗で惹かれて見続けていました。
音楽も、演奏場面以外のバックサウンドがすごくいい。
この作品が嫌いな人も多分演奏場面はすごいと思っているんじゃないかと思います。
普通のアニメだとあんなに手元映しませんし。
ロングで撮って誤魔化すって言ったら失礼かもしれませんがそんな音楽アニメが多かったのでびっくりしました。
普通の恋愛アニメでは、味わえない熱い展開もあるので、普段スポーツアニメが好きな人もハマると思います!

  
ただ、女性キャラクターの暴力ギャグ的表現が合わない人はちょっときついかもしれません。
私はアニメらしい表現で好きです。(ハガレンのヒロインが大丈夫ならいけると思います)
ポエムチックな事を主人公が言うことが多いのでそれも苦手だと思う人もいると思います。
また、このジャンルは好き嫌いハッキリ別れそうです。
苦手な私がハマったのでおすすめはしたいです。


個人的にすごいと思ったところを簡潔にあげると、私はアニメ、映画、マンガ、ドラマと色んな作品を見てきましたが、2週目がこんなに面白い作品はなかなかないです。

それだけ、登場人物一人ひとりの心理描写がしっかりしているんだなと改めて思いました。
見て合わなかったら残念ですけど、見て好きになってくれたら嬉しいですね。

もう一つはネタバレレビューを読む



ここからはネタバレありで書いていきます。全部見終わった人で、お時間ある方だけお付き合いください。めっちゃ長くなりますがこれでも端折っているのでご了承ください。


1話
ネタバレレビューを読む

2話ネタバレレビューを読む

3話からどんどん世界に惹かれていきました。
ネタバレレビューを読む最高の3話の終わり方です。
ここから本腰を入れて見始めました。

4話
ネタバレレビューを読む

5話
ネタバレレビューを読む

6話
ネタバレレビューを読む

7話
ネタバレレビューを読む

8話
ネタバレレビューを読む

9話
ネタバレレビューを読む

10話
ネタバレレビューを読む


11話
ネタバレレビューを読む

12話
ネタバレレビューを読む

13話
ネタバレレビューを読む

14話
ネタバレレビューを読む

15話
ネタバレレビューを読む

16話
ネタバレレビューを読む

17話
ネタバレレビューを読む

18話
ネタバレレビューを読む

19話
ネタバレレビューを読む

20話
ネタバレレビューを読む

21話
ネタバレレビューを読む

22話
ネタバレレビューを読む

誤字脱字、文章がおかしなところもいっぱいあると思いますが最後までこんなにも長いレビューを最後まで見てくださりありがとうございました。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 30

89.2 2 クラシック音楽アニメランキング2位
銀河英雄伝説(TVアニメ動画)

1990年春アニメ
★★★★★ 4.3 (950)
4072人が棚に入れました
西暦2801年を宇宙暦1年とした遥かな未来。宇宙に進出した人類は、専制政治を敷く銀河帝国と民主共和政を唱える自由惑星同盟の二大勢力に分かれ、 150年にもわたる断続的な戦争を続けていた。長く不毛な戦いが永遠に続くかに思われていた宇宙暦700年代末、両陣営に2人の英雄が出現する。銀河帝国の貧乏貴族の家に生まれたラインハルトは、姉を皇帝に奪われた事をキッカケとして、銀河帝国を奪い取る野望を胸に軍人となり、出世していく。 一方、敵国である自由惑星同盟にあって、不本意ながら軍人になってしまい、不本意にも関わらず功績を立て続けるヤン・ウェンリー。 一見正反対の彼ら2人の登場により、人類の歴史が大きく展開し始める
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

銀英とあにこれとアニメ業界について

あにこれに参加して1ヶ月時点で書いたレビューを書き直しました。

この作品のレビューを書くのが目標だった。(2013/11)
ネタバレレビューを読む
アニメ視聴数が100未満、銀英を見た事が無い若い人に向けてのメッセージ的な。


あにこれの影響力とアニメ業界全体について
ネタバレレビューを読む
こちらはアニメ視聴数が100以上、投稿レビュー数もそれなりの人への話。
銀英の話を持ち出しているので、多少のネタバレを含みます。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 88
ネタバレ

yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

週刊 銀河英雄伝説 復刊!第20号

復刊のご挨拶
 年の瀬も押し迫ってまいりましたが、如何お過ごしでしょうか。
 さて、皆様への御約束通りここに「週刊 銀河英雄伝説」の復刊を宣言いたします!(一週遅れてしまいましたが)
 まだ折り返しにも到達しておりませんが、今後もより一層気を引き締めて刊行を続けていく所存であります。
 今後とも何卒ご愛顧のほどをお願い申し上げまして、挨拶に代えさせて頂きます。
       平成27年12月20日 ヤピゴスティーニ代表 やっぴー


休刊のお詫びと挨拶
 ネタバレレビューを読む

創刊の挨拶
 ネタバレレビューを読む

 第一話「永遠の夜の中で」
 ネタバレレビューを読む

 第二話「アスターテ会戦」
 ネタバレレビューを読む

 第三話「第十三艦隊誕生」
 ネタバレレビューを読む

 第四話「帝国の残照」
 ネタバレレビューを読む

 第五話「カストロプ動乱」
 ネタバレレビューを読む

 第六話「薔薇の騎士」
 ネタバレレビューを読む

 第七話「イゼルローン攻略!」
 ネタバレレビューを読む

 第八話「冷徹なる義眼」
 ネタバレレビューを読む

 第九話「クロプシュトック事件」
 ネタバレレビューを読む

 第十話「ジェシカの戦い」
 ネタバレレビューを読む

 第十一話「女優退場」
 ネタバレレビューを読む

 第十二話「帝国領進攻」
 ネタバレレビューを読む

 第十三話「愁雨来たりなば・・・」
 ネタバレレビューを読む

 第十四話「辺境の解放」
 ネタバレレビューを読む

 第十五話「アムリッツァ星域会戦」
 ネタバレレビューを読む

 第十六話「新たなる潮流」
 ネタバレレビューを読む

 第十七話「嵐の前」
 ネタバレレビューを読む

 第十八話「リップシュタットの密約」
 ネタバレレビューを読む

 第十九話「ヤン艦隊出動」
 ネタバレレビューを読む

 第二十話「流血の宇宙」
 ネタバレレビューを読む

 第二十一話「ドーリア星域会戦、そして・・・」
 ネタバレレビューを読む

 第二十二話「勇気と忠誠」
 ネタバレレビューを読む

 第二十三話「黄金樹は倒れた」
 ネタバレレビューを読む

 第二十四話「誰がための勝利」
 ネタバレレビューを読む

 第二十五話「運命の前日」
 ネタバレレビューを読む

 第二十六話「さらば、遠き日」
 ネタバレレビューを読む

 第二十七話「初陣」
 ネタバレレビューを読む

 第二十八話「肖像」
 ネタバレレビューを読む
 
 第二十九話「細い一本の糸」
 ネタバレレビューを読む

 第三十話「失われたもの」
 ネタバレレビューを読む

 第三十一話「査問会」
 ネタバレレビューを読む
 
 第三十二話「武器なき戦い」
 ネタバレレビューを読む

 第三十三話「要塞 対 要塞」
 ネタバレレビューを読む

 第三十四話「帰還」
 ネタバレレビューを読む

 第三十五話「決意と野心と」
 ネタバレレビューを読む

 第三十六話「雷鳴」
 ネタバレレビューを読む

 第三十七話「幼帝誘拐」
 ネタバレレビューを読む

 第三十八話「矢は放たれた」
 ネタバレレビューを読む
 
 第三十九話「ひとつの旅立ち」
 ネタバレレビューを読む

 第四十話「ユリアンの旅・人類の旅」
 ネタバレレビューを読む

 

 
 


 
 


 

 


 
 


 
 

 
 
 
 
  
 

 
 

 


 

 
 



 
 

 

 
  
 

  

  
 
 
  
 
 
 
 

 
 

投稿 : 2025/03/01
♥ : 30
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

絶賛する程ではないが、一定の政治哲学的な考察内容を含む点は評価したい《英雄一代記》

これまで色々視聴してきた『機動戦士ガンダムシリーズ』は、確かに多彩な要素を含む《メカ系バトル&エンタメ作品》として大いに楽しめたのですが、その一方で、初代→Zや、SEED→SEED DESTINYといった同シリーズの中でも大作&有名作に顕著な傾向として、

①如何にも「戦争と平和」或いは「望ましい政治のあり方」といった政治的/思想的大問題を描き出す「ふり」をしつつも、
②実際のところは、そうしたテーマの分析に必要不可欠な緻密な論理的考察を積み重ねることなく、専ら感情論的・情緒的に戦争や政治に関わる人々の悲劇性を謳い上げる「戦争文学」「戦争叙事詩」的な内容に終始していること

に少しばかり失望して、もう少し「政治哲学」的な考察内容を含んだアニメ作品がないものか検討してみたところ、そうした分野での有名作として本作が目に留まったので、この機会に手を出してみました(※制作順に劇場版+本伝を完走。外伝は一部のみ視聴)。

※以下、本作と部分的に類似した内容をもつ大作『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』『コードギアスR1-2』にも言及つつ本作を考察していきます。

◆総評

本作は、視点の置き方により、次の3階層で楽しめる作品となっていると考えます。

(1) 頭脳バトルもの(ないし戦術・戦略もの)として
(2) 英雄一代記(※好敵手の外伝的内容を含む)として
(3) 政治体制や戦争と平和についての政治哲学的考究ものとして

◇まず、 (1) 頭脳バトルもの(戦術・戦略もの)として
ネタバレレビューを読む


◇次に、 (2) 英雄一代記(※好敵手の自由市民の外伝的内容をも含む)として
ネタバレレビューを読む


◇最後に、 (3) 政治体制や戦争と平和についての政治哲学的考究ものとして
ネタバレレビューを読む


◆本作の結末についての考察(重要)

本作の展開を簡潔に書き出すと

ネタバレレビューを読む

・・・ということで、本作は、アニメ作品に限らず、戦争もの/政治ドラマ仕立ての作品によくあるような「民主主義万歳!」「革命万歳!」「独裁者を倒せ!」etc.といった安直な内容にはなっておらず、逆に、

<1> デモクラシー(democracy、正確に訳すと「民主制」「民主政治」であり「民主主義」は誤訳)は、デマゴギーの蔓延によってモボクラシー(mobocracy、衆愚制・衆愚政治)に堕落する危険性を常に孕んでいること、
<2> 堕落した衆愚政治に支配された民主政国家は、英邁・有能な独裁者をいただく専制君主政国家に政治的・軍事的に劣後し敗北する結果を招きかねないこと、

を、長編アニメという作品媒体を通して、首尾一貫した構成の下に確りと描き出していることについては、やはり原作者/アニメ制作者はなかなかの見識をお持ちである、と素直に賞賛したと思います。

但し、本作に描かれたような展開と結末は、実は政治学(政治哲学を含む)をある程度真面目に学んだ者には常識に属するものであり、

[1] それをわざわざ、本伝110話+劇場版3作も掛けて描くほどのものではないように思われる上(※それだけの時間があれば、政治哲学の有名著作を何冊か読んだほうがマシだと個人的には思います)、
[2] アニメしか見ない層の場合は、せっかく本作を見終わっても「よく分からないけれど何やら政治に関して高級な薀蓄(うんちく)が色々と披露されているみたいで、とにかく凄かった」程度の感想しか残らないもの、と推測され、

・・・そういう意味で、本作を、「頭脳バトルもの+英雄一代記」 というエンタメ作品としての評価に加えて、「政治体制や戦争&平和の関係」についての政治哲学的作品として絶賛するには、個人的には足踏みしてしまう結果となりました


◆シリーズ別評価(外伝は除く)

(1) 劇場版 わが征くは星の大海 (1988年2月)  ★ 4.0
(2) 本伝  第1期 (1988年12月-1989年6月) ☆ 3.7
(3) 本伝  第2期 (1991年6月-1992年2月) ★ 4.0 
(4) 劇場版 黄金の翼 (1992年12月) ☆ 3.7
(5) 劇場版 新たなる戦いの序曲 (1993年12月) × 3.4 ※後半が本伝1-2話の使い回し
(6) 本伝  第3期 (1994年7月-1995年2月) ☆ 3.8
(7) 本伝  第4期 (1996年9月-1997年3月) ☆ 3.5
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
本伝・劇場版を併せた総合評価       ☆ 3.8

※上記の理由のとおり、本作の作品テーマ自体はそれなりに評価するものの、その冗長さがマイナスとなって、全体評価は ☆ 3.8 と程々の点数に留めました。
(それでも『機動戦士ガンダム(UCシリーズ)』の平均点 ☆ 3.7 より少し上です)。


◆各話タイトル&評価(本伝+劇場版)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

ネタバレレビューを読む


◆(既視聴者向け):本作からの拡張

もし本作を、「政治論」とくにその中の「デモクラシー」の考究ものとして捉えるならば、その重要な指摘のひとつは、

「デモクラシーの要諦は、正当な言論とデマゴギーの見極めである」、あるいは、
「政治の要諦とは、デマをデマとちゃんと見抜くことである」

・・・でしょう。

デマゴギーはいつの時代だって発生します。
古代ギリシアの直接民主制では、デマゴーグ(デマを撒き散らす者=デマゴゴス)はアゴラ(広場)でアジテーション(扇動演説)を繰り返す人、と相場が決まっていましたが、近代以降の間接民主制では、デマゴーグ達はその主戦場を新聞やTVといったマス媒体に移し換え、「権威」や「真実」の衣を偽装して人々を彼らの思う方向へ扇動しようと試みます。
その卑近な例が、2009年9月の一時的な政権交代に至るマスコミによる異常な政治的扇動であったと私は理解していますが、そのようなものに引っかかってしまった人たちが、今後再び同じ愚を犯さないと、私たちは果たして言い切れるでしょうか?

せっかく本作を視聴して何らかの感銘を受けた方ならば、本作について「深い」とか「考えさせられる」みたいな余り内容のない感想を持つだけで終わらずに、どうせなら、もう少し本格的に政治現象を読み解くための杖 -政治学とか政治哲学とか呼ばれているもの- にも手を伸ばして欲しいと思いました。

※そのための第一歩として、岩田温『逆説の政治哲学』(2011年刊)あたりを個人的に推しておきます。(必ずしも岩田氏の論説に全て同意する訳ではありませんが、本書自体は『ザ・フェデラリスト』、『フランス革命の省察』、『革命について』といった政治哲学の古典の秀逸なガイドブックになっているため。)

(2018.8.29 誤字訂正) 

投稿 : 2025/03/01
♥ : 31

77.1 3 クラシック音楽アニメランキング3位
のだめカンタービレ(TVアニメ動画)

2007年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (730)
4289人が棚に入れました
天才と称される音大生・千秋真一は、世界的な指揮者を目指すも様々な壁にぶつかり将来を思い悩む日々が続く。
すっかり自暴自棄になっていたある日、千秋は一風変わったピアノソナタを耳にしながら目を覚ます。
そこで千秋が目にした光景は、ゴミだらけの部屋でピアノを弾く野田恵(通称:のだめ)だった。
のだめとの出会いで、エリートコースを歩む千秋の未来が少しずつ不協和音を奏ではじめる。

声優・キャラクター
川澄綾子、関智一、小川真司、川田紳司、織田圭祐、生天目仁美、松風雅也、小林沙苗、中井和哉、諏訪部順一、能登麻美子
ネタバレ

柴犬→柴猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

最高の8分間をあなたに

【個人的殿堂入り作品】
原作は二ノ宮知子さんによる漫画。
先にドラマ化され(2006年10月)、終了後にアニメがスタートした(2007年1月)。
同じ局での放送ということもあり楽曲の音源は共用されている。
深夜アニメとゴールデンタイムのドラマとでは制作費が全く違うため、
アニメ版のだめにとっては豊富な音源が使え、この点は良かったと言える。
逆にアンラッキーだったのはドラマ版の評判が余りにも良かったことだろう。
当たり前だが実写版は演奏シーンを含めて良く動く。
その結果、直後に始まったアニメ版が何ともショボく見えてしまった(特に演奏シーン)のは事実だ。
しかし繰り返し視聴してみると、改変の多いドラマ版と比べて、
ほぼ原作に忠実なアニメ版が内容的に見劣りするということは全くないと分かる。
特にクラシック曲の使用に関してはアニメ版の方が圧倒的に良い。
『のだめ』の劇中で演奏される曲は、殆どの場合何らかの意味を持っている。
ドラマ版はそうしたものはひとまず置いておいて、
演奏シーンを格好良く見せることに主眼を置いた演出だった。
一方のアニメ版は原作で提示されたものをしっかりと表現していた。
何故Sオケがベートーヴェンの『英雄』を演奏したのか、
何故のだめは『ぺトルーシュカ』を弾いたのか。
曲の背景にあるものを考えながら見るとまた面白いのである。

では、この1期でもっとも重要な曲は何だったのだろう?
それは間違いなくラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』である。
以下にこの楽曲の使用に関する私見を書く。

【クラシック四方山話①】
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18

1901年10月27日に初演され大成功を収めて以来、
現在でも最も人気のあるピアノ協奏曲のひとつである。
ラフマニノフはこの曲をニコライ・ダーリに捧げた。
さて、このダーリとは一体何者なのか?
そのことを書く前に、話は4年前に遡る。
1897年3月15日、この日はラフマニノフの『交響曲第1番』が初演された日であり、
人生最大の屈辱を味わった日でもある。
何しろ演奏は大失敗に終わり、新聞にもこっ酷く酷評されてしまったのである。
これによってラフマニノフは精神状態が不安定になり、まともに作曲も出来なくなってしまった。
そこで登場するのがニコライ・ダーリである。
彼は医者であり、心理学などを専門としていた為、
ラフマニノフは彼の治療を受けることとなったのである。
用いたのは主に催眠療法と心理療法であったらしい。
こうしてダーリの力もあって大成功を収め自信を取り戻したラフマニノフは、
その後『ピアノ協奏曲第3番』や『交響曲第2番』といった傑作を生み出していった。
そういう意味ではこれは彼にとって間違いなく転機となった曲なのだ。

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 7

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

88の場面の中に散らばった音かき集めて 歌うように・表情豊かに

2007年放送のテレビアニメ ノイタミナ枠 全23話

原作 二ノ宮知子 監督 カサヰケンイチ 構成 金春智子 キャラデザ 島村秀一
制作 J.C.STAFF

女性マンガ誌「Kiss」に2001年から10年にわたって連載された人気コミックのアニメ化。
この作者はクラシック音楽の知識が全くない人だそうで、
ゴミ屋敷の中でピアノを弾いている人の写真を見たことから発想を得たそうです。
そんな人が書く本格クラシック音楽コミックと言うことで、クラシック業界もバックアップしたのは必然です。
2004年の「スイングガールズ」のヒットに続けという感じで、
2006年秋にはフジテレビでドラマ化(全11話)そのまま連続する時期に放送されたのがアニメ版です。

もう十年以上も前の作品なので何も付け加えることは無いと思うのですが、
実は今回初めて第一期を完走しましてあまりの面白さに呆然となっているところです。
正直なことを言いますと、ドラマは楽しんだのですが、
アニメは古臭い作画に耐えられず3話くらいでやめたのです。

いったい何が古臭かったのでしょうか。
分かりません。今観ると素晴らしい作画です。
時代的に止め絵が多く、楽器演奏もアップ以外は出鱈目なのですが、
絵コンテのレベルが高くほれぼれと観てしまいました。

主人公『野田恵』CV川澄綾子のキャラはドラマ版より原作準拠で完璧な再現率です。

なんだかだらしない女子大生「のだめ」こと野田恵は音大ピアノ科2年生。
将来の夢は幼稚園の先生になること。
なぜか高レベルの音大らしき桃ケ丘音大(モデルは桐朋音大かな)に居る。
この居心地の悪さが生活を破たんさせた原因のようです。
逆に考えると「のだめ」はピアノの天才だったのです。
両親もよく分からないまま、地元のピアノ関係者の推薦のまま入学したものの、
一途に漫画家を目指して芸大に入ってしまった人のような心地悪さでしょう。

同じマンション(もちろんピアノ可)には偶然同じ大学の先輩である『千秋真一』がいまして、
ピアノとヴァイオリンに天才的な手腕を発揮するエリート音大生ですが、
その出会いから物語は始まります。

2クール作品ですが、大部分が千秋真一の指揮者への転向と活躍が描かれ、
のだめは変態扱いでギャグメーカーでしか無いです。

奇声を発するゴミ屋敷在住の色ボケ女子大生の主人公ですが、
原作がたぐいまれな名作だったこともあり、
00年代を代表する素晴らしい作品に仕上がっています。

音楽の使い方は、当時としては群を抜いています。
直前、同テレビ局でドラマを造ったこともあり、さらに進化したクラシック音楽の使用が可能になったと思われます。
80年代ポップス風のOPEDものだめの心情を現すようで作品にマッチしています。

2期、3期が制作され、全45話完結のノイタミナを代表する名作アニメ。
たぶん、あっという間に観終わると思います。

この作画は素晴らしいです。
止め絵でも構図が良ければ納得できるということですね。
物語は面白すぎて最高点。文句なしでした。

一つ問題点を上げるとすれば、この作品を観て音大に入りたくなる人が少なさそうだと言うこと。
登場人物が楽器の天才ばかりと言うのでは、身近に感じられないのです。
「けいおん」ほどの社会現象にはならず、クラシック音楽もそんなにブームにならなかった原因だと思います。

その代わり物語構成や展開の原作力は他の音楽作品を圧倒していますので、
もしかしたら今こそ観るべき作品なのかも知れません。

2期3期観終わりました。
素晴らしいエンディングが待っています。名作認定ですね。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 26

こたろう さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ドラマ>アニメ・・・・だけど良作

人気少女漫画のアニメ化作品。
オーケストラやピアノといった古典音楽を中心に、若者達の恋愛と成長を綴った物語です。
実写ドラマ化、映画化もされていて好評を博している作品。
アニメよりも実写の認知度の方が断然高く、
「あ、アニメにもなってたんだ」
とか言われると思います、一般的には。


人気の高い漫画を引っ張ってきているので、ストーリーが面白いのは当たり前です。
若く才能溢れる主人公達たちの成長の軌跡を描いているわけですが、コミカルな雰囲気を保ちつつも、真面目に音楽家としての挫折と成功のステップアップを追っていくストーリーは終始見応えがありどんどん引き込まれます。
恋愛面のドロドロはなく、初っ端からフラグが立っているのでメインストーリーの邪魔にはなりません。でもそれでいて、ちゃんと見所やヤキモキさせられる要素も含んでいます。

とにかく、のだめのキャラが特徴的。
独特のキャラを上手に表現できているか気になるところですが、ダメ人間ぶり変人ぶりは上手くできていたと思います。
実力派のベテラン声優さんなので表現力には死角なしですね、お見事でした。
序盤のザコ扱いにはヒロインとしてどうよ?と思い心配になりましたがw 終盤でちゃんと主人公らしさを魅せて挽回してました。
2クールの間、間延びすることもなく常に次が気になる展開。実に楽しめました。
キャラクターも粒ぞろいで、みんな愛せます(〃'▽'〃)


ただし、作画には注文をつけたいところが結構ありました。
序盤は、それなりに描いてあるのかな?っと感じた演奏シーンですが、視聴を続けていくと段々と手抜き感が露になってきます。
いや、オーケストラを作画するのって、もの凄く大変なのはわかりますよ。わかるけど、音楽をテーマにしてる作品の見せ場、命脈とも言えるシーン、もっと気合いを入れたアニメーションを魅せて欲しかったです。
楽器や指の動きはCGを使っているのでキレイなんですが、それに頼りすぎ。
頼みの綱のCGにしても創ってあるカット数が少なすぎて何度も使い回されているのがモロわかり。すぐ飽きるうえに、アップばっかりで構図も単調。魅せるべきところであろう演奏者(キャラ)が映るところは、指一つ、眉一つ動かない止め絵ばっかり。演奏の尺が長いもんだから、普通ならサラッと流せてしまいそうなところも、尚更そういうのが目についてしまいます。
なまじ音がいいだけに、余計に映像が負けている気がして・・・アニメ好きとしては、実写に引けを取って欲しくないのですが、残念ながらTVドラマや実写映画に勝っていると言えないのが悔しいです。
アニメだからこそできる表現ってあるのだから、そういう所を強調してナンボでしょう。
予算、音を作るのに全部もっていかれて映像にまで回せなかったッスか?


とまあ、苦言を呈しましたが、文句を言いたくなるのも、ストーリーや音楽が良かったからこそ。
扱っている題材もありきたりなものではないので新鮮味はあるし、作品としての娯楽性は豊富。安心してオススメできる良作です。
カンダービレで(歌うように楽しく)、ご視聴ください^^

投稿 : 2025/03/01
♥ : 23

75.5 4 クラシック音楽アニメランキング4位
スーパーカブ(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (485)
1395人が棚に入れました
山梨の高校に通う女の子、小熊。両親も友達も趣味もない、何もない日々を送る彼女は、ある日中古のスーパーカブを手に入れる。初めてのバイク通学。ガス欠。寄り道。それだけのことが新鮮で、ちょっと冒険した気分。仄かな変化に満足する小熊に、バイクは人とのつながりも生み出していく。小熊と同じ、バイク乗りの少女・礼子や、バイクに乗って変わっていく小熊に憧れる少女・椎。小熊の世界は少しずつ、広がっていく。友達と一緒の昼ご飯。当てもなく寄り道する放課後。バイクでしかできないアルバイト。そして、これからもバイクと生きていくために少女が選ぶ進路。

声優・キャラクター
夜道雪、七瀬彩夏、日岡なつみ
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

滑走路の彼方

【極微修正】


スーパーカブ、という実在の車名に囚われ過ぎない方がいいだろう。
これは、「何もない」少女が「バイク」という「力」を得る物語だ。
力点は、おそらく「力」の方にある。
スーパーカブは「力」を象徴し、表象する特権的な「記号」であって、実在物としての「スーパーカブ」のディテールにこだわりすぎると、物語を見誤るかもしれない。

確かにカブにかかわるディテール描写は緻密で、スーパーカブという、ある種シーラカンス的な車種をフィーチャーすることで、「スーパーカブ」という固有の車種だけでなく、古い時代のオートバイの記憶を呼び覚ます。

チョークレバー、キックスターター、スライド式ウインカースイッチ、収納ではなくフック式のヘルメットホルダー、通気システムもシールドも無いジェットヘルメット、などなどなど。
昔のオートバイを知る視聴者には、どれも懐かしく胸に迫ることだろう。

だが、こうした細部に淫してノスタルジーを消費することを、本作が目指しているようには思えない。

では実在のバイクを登場させることは無意味なのだろうか。
そんなことは無い。

「現実」に生きる人間であれば、「どこにもない」バイクに乗っているはずがない。
アニメの少女が実在のバイクに乗ることは、少女が視聴者と同じ地平に立っていることを意味する。



ネタバレレビューを読む


全編を通じて、どこをとっても元高校生ライダーには身に覚えのあるエピソードの連続で、胸に迫るものがある。
同じような、元、あるいは現役の高校生ライダーは多いに違いない。

が、強く引き付けられるのは、元高校生ライダーや現役ライダーだけではないだろう。
実在車としての「スーパーカブ」に囚われることなく、力=自由を表象する特権的な「記号」であると捉える限り、他作品の感想にも記したように、クルマやオートバイに「自由」のアウラを見ていた無数のオジサンやオバサンもまた、本作に強く惹かれるだろうと信じる。



本作に一撃で引き付けられたのは、過去を追体験させるようなプロットだけではなく、舞台が甲府盆地であることも1つの要素だ。
いや、お金のない東京の高校生ライダーの手軽なツーリング先として、よく甲府盆地を目指していたからだから、これも追体験の一要素かもしれない。

だが、主人公が甲府盆地に住む少女であることは、オッサンのノスタルジーの対象であることを越え、もう少し現代的な意味も併せ持っている気もする。


ネタバレレビューを読む



それにしても、マンガや小説の中にあれほどいたオートバイ少年は、どこへ行ってしまったのだろう。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 22
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

スーパーカブは、スーパーマン?

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
1話を筆頭に、作画のクオリティは☆5に値すると思う。「スーパーカブ」に絞ったストーリー展開は目新しく、醸し出す雰囲気はかなり自分好み。

OPも素晴らしい。歌詞、メロディ共に作品に合っていて、剣道部OP大賞2021秋(非公式)受賞♪

私自身がバイクに乗らないしあまり興味がないこともあり、どハマりはし(☆5は)ないものの、毎回楽しみにする(☆4)くらいには楽しんでいたのですが、終盤に「う~む」という展開が続き、惜しくも☆3止まりに、、、しようと思ってたけど、最終話で評価回復。結果、☆4に落ち着きました(笑)

人によっては今期の覇権に推すかもしれないだけの魅力はあったし、クオリティも高い。

レビューでは、いかに私が無能かを書きたいと思います(笑)

実は、私は11話視聴時点で、本作に酷評レビューを書いていましたが、12話を観た時、それが的外れであると同時に、私がアニメ制作スタッフに「完璧に1本取られた」と思いました。

ちょっと恥ずかしいのですが、手玉に取られた制作スタッフに敬意を評し、勘違い酷評レビューは消さず、本作の素晴らしさを書きたいと思います♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
ネタバレレビューを読む

【特別番組 スーパーカブで紡ぐ世界 感想】
ネタバレレビューを読む

【各話感想(自分用メモ)】
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 52
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

この空気感、好き・・でした

[2021.6.24]
最終話見終わりました。(簡単な感想は一番下に・・)
5話以降の展開については、原作どおりみたいなので仕方ないのかも。
初盤のあの空気感はアニメならではの演出の成果だと思うので、アニメの出来は悪くないと思います。
結果論になっちゃいますけど、4話までの話を再構成して、親の話や免許取得の話などアニメで語られなかった部分を追加したりして映画化したほうが良い作品になった気がします。
・・あ、でもそれだと椎ちゃんの出番が。。

[2021.6.11]
4話までの感じが凄く好きだったんですが、最近のお話はあまりそれが感じられなくなってきたのがちょっと残念です。
突飛なのはいらなくて、もっと地味なお話でいいから小熊さんの小さな冒険を描いてくれると良かったんだけど。。

[2021.4.8初投稿]
ラノベが原作のようですが、未読です。
PV見たときも感じたけど、絵と音がすごくいい!

バイクのアニメなのに、とても静かでひんやりした空気感を感じます。
この空気感、好きだな。

劇中曲にクラシックを使ってるところも、雰囲気にあってると思いました。
ドビュッシーやリストなどいいですね。
ほかのピアノなどの劇伴も良かったです。

主人公の小熊さんは、かわいいけどおとなしくて地味な感じ。
両親も友達もお金も将来の夢もない女の子みたいだけど・・

彼女がスーパーカブと出会って物語がどう動き始めるのか、バイクというものに一度も乗ったことのない私も一緒にドキドキしながら見ていきたいと思います。

以下、各話の感想です♪

【1話 ないないの女の子】
ネタバレレビューを読む

【2話 礼子】
ネタバレレビューを読む

【3話 もらったもの】
ネタバレレビューを読む

【4話 アルバイト】
ネタバレレビューを読む

【5話 礼子の夏】
ネタバレレビューを読む

【6話 私のカブ】
ネタバレレビューを読む

【7話 夏空の色、水色の少女】
ネタバレレビューを読む

【8話 椎の場所】
ネタバレレビューを読む

【9話 氷の中】
ネタバレレビューを読む

【10話 雪】
ネタバレレビューを読む

【11話 遠い春】
ネタバレレビューを読む

【12話 スーパーカブ】
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 58

69.2 5 クラシック音楽アニメランキング5位
のだめカンタービレ 巴里編(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (393)
2168人が棚に入れました
千秋とのだめは、音楽留学のためパリへとやって来る。飛行機恐怖症を克服して、久しぶりに戻って来たパリに感慨深くなる千秋。
パリでの住処であるアパルトマンで二人を待っていたのは、のだめと同じ国立音楽大学ピアノ科に在籍するオタクのフランス人、フランクと派手な外見のロシアンギャル、ターニャだった。

声優・キャラクター
川澄綾子、関智一、松風雅也、大原さやか、伊藤静、浅沼晋太郎、日野聡、森川智之、清川元夢
ネタバレ

横浜ゆう さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ぎゃぽぉぉ~~~~~~~~~~~~~

のだめ第二弾巴里編です

最高です。ホント良い作品ですね~
クラッシックを好きになってくれるとうれしいですねっ!

評価は平均的に高いのでこの辺で・・・

でっ!!!ゆうちゃんの豆知識~~~~

オケで演奏を称賛する際にブラーヴォって言いますよね?
コレって誰に対しても言っていいものではありません。

オケでブラーヴォ!!という場合
ネタバレレビューを読む
オケの奏者全員(男女ごちゃまぜ大人数)なら・・・
ネタバレレビューを読む
トウシロがっ!!バカがっ!!皆冷や汗ものです
発音が「・・ボー」ってキッチリ言っちゃったし、
はりきってカッコつけて一番乗りしたかったんでしょうね

まぁ、奏者は寛大な方で始終笑顔でしたがヒヤヒヤしました

イタリア語なんですけど
ネタバレレビューを読む
なんですよ~~~~気を付けてくださいねっ!

結構、気を使います^^;
ネタバレレビューを読む
カッコつけたくて言うのはよくないですね^^;
拍手が世界共通の称賛の意ですから慣れないことはしないことですwww

さて、次はフィナーレです。最終章ですので見てくださいねっ!

投稿 : 2025/03/01
♥ : 3
ネタバレ

柴犬→柴猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

あの人が振るとオケが鳴り出す

【概要】
『のだめ』海外編の前半。
実写版だとスペシャルドラマ2本と映画1本目の部分。
演奏される曲にいろいろな思いを込めているのは国内編から変わらず。
1~9巻までを2クールでやった国内編と比べると、
10~17巻冒頭までを1クールでやっているので、ちょっと忙しなく物足りなさも感じる。
原作ファンの中には海外に行ってからはつまらないと言う人もいるようだが、
二ノ宮さんが本当に描きたかったのはむしろここからだと思う。

【クラシック四方山話②】
デュカス:交響詩『魔法使いの弟子』

フランスの作曲家デュカスが1897年にゲーテの詩を題材にして作った曲。
詩の内容は以下の通り(Wikiより転載)。

老いた魔法使いが若い見習いに雑用を言い残し、自分の工房を旅立つところから物語が始まる。
見習いは命じられた水汲みの仕事に飽き飽きして箒に魔法をかけて自分の仕事の身代わりをさせるが、
見習いはまだ完全には魔法の訓練を受けていなかった。
そのためやがて床一面は水浸しとなってしまい、見習いは魔法を止める呪文が分からないので、
自分に箒を止める力がないことを思い知らされる。
絶望のあまりに見習いは鉈で箒を2つに割るが、
さらにそれぞれの部分が水汲みを続けていき、かえって速く水で溢れ返ってしまう。
もはや洪水のような勢いに手のつけようが無くなったかに見えた瞬間、
老師が戻ってきてたちまちまじないをかけて急場を救い、弟子を叱り付ける。

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 3

こたろう さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

年貢を納めて変態の森に

舞台を日本から海外を移しての第2期。
のだめと千秋、2人の主人公の成長と進展を描いたクラシック音楽アニメです。
パリを拠点に指揮者としての名声を固めていく千秋と、真剣にピアノに向き合う事を決めたのだめの恋にも注目です。
人気を博したTVドラマは、アニメの1期にあたるところまで。(巴里編以降はTVスペシャル版と実写映画になっています。)
ヨーロッパでの活躍を詳しく描いたのは、アニメの2期、3期となります。


外国に舞台が移ったからといって、作風は変わらず「のだめカンタービレ」です。
コメディチックな雰囲気は崩さずも、その中で音楽家としての苦悩や成長を表現しているところは同じ。
生真面目で努力家、何でもソツなくやり遂げてしまう千秋と、持ち前の才能と行動力で前に進んでいくのだめの、イビツでありながら分かち難いいカップルが音楽家としてどう変わってくか。
その軌跡を辿っていくストーリー。
2人ともある種の天才なので、挫折や障害にぶちあたってヤキモキするのではなく、課題や難関をこの2人がどう突破していくか、そういうのを見るのが楽しい作品です。
天然なようで、色々感じたり考えたりしているのだめのキャラも際立ってきています。ただの変態じゃないッスねw

1期で残念だった作画も、この巴里編では改善されています。
ちゃんと演奏の動きが付けられたアニメーション。前作と違いオーケストラを描く機会が減って、ビアノ演奏の場面が増えたので、ラクになった・・・というのは失礼な言い草ですが、ちゃんとした動画を作る余裕ができたという事でしょうか。
少なくとも、「止め絵ばっかり目立つ」という印象は無くなりました。
オーケストラでも、ちゃんと演奏家のひとりひとりが”動いて”います。


恋の物語としても進展がちょっぴり。
既に相思相愛な状態で巴里に来ていた2人ですが、最初から女房気取りののだめの事はおいて置いて、いよいよ千秋が変態の嫁の尻に敷かれる覚悟を決めたお話・・・・といってもいいでしょうw
喧嘩しても、普通の少女マンガみたに深刻なドロドロにはならない。むしろ壮快に二人の絆が深まっていくので安心感があります。
恋愛物語として盛り上がりに欠けますが、恋のライバルっぽいのが現われても、まったくモノともしないのがむしろイイと思えます。この作品に限っては^^


それぞれの音楽に向き合う凸凹でお似合いな2人の物語。
1期に引き続き、歌うように楽しく(カンタービレで)ご視聴頂ける作品です。
オススメ!

投稿 : 2025/03/01
♥ : 15

73.5 6 クラシック音楽アニメランキング6位
プリンセスチュチュ(TVアニメ動画)

2002年夏アニメ
★★★★★ 4.1 (198)
1055人が棚に入れました
金冠町という町の金冠学園バレエ科の落ちこぼれ生徒・あひるは、憧れのみゅうと先輩といっしょにパ・ド・ドゥ(男女がペアを組んで踊ること)を踊るのが夢。
人の心を持たず、いつもさみしげなみゅうとの役に立てればと願うあひるに、謎の老人ドロッセルマイヤーが力を授け、あひるはプリンセスチュチュに変身して、みゅうとに失った心のかけらを返してあげることができるようになった。

声優・キャラクター
加藤奈々絵、矢薙直樹、櫻井孝宏、水樹奈々、松本さち、白鳥由里、松本保典、岸田今日子

nani-kore さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

戦わない、愛の魔法バレエ少女の正体はアヒル??とってもシュールな珍傑作☆

単純に魔法少女モノと、カテゴライズできないアニメです。
まず、魔法少女なのに基本バトルはナシ。
向かってくる敵(の様な対象)と共に踊るだけです。
そしてその正体は、実は少女ですらありません。
その正体はアヒル、あのお風呂にプカプカ浮いてる、愛らしくも吹き出してしまいそうな黄色いヤツ。
なんとそれが正義のヒロインなのです。

10年の構想を経て制作されたという、サトジュン監督の本作。
お風呂に浮いているアヒルが活躍してもおかしくないような、きっついデフォルメのキャラデザは、私の好みではありませんが、作画には気合いが入っていると思います。
クラシックバレエを基調とした音楽もイイです♪
全編26話で、前半「卵の章」と後半「雛の章」では全然テイストが違います。
前半では物語のシュールさに首をかしげつつ、まだかろうじてお子様も楽しめる感じですが、後半にいたってはもはや、子供は置いてけぼりの暴走シュールぶりなのです;

前半「卵の章」は1話から13話です。
安全な少女向けファンタジーを楽しみたい方は、13話で終了しても良いでしょう。
実際、この13話で完結してもおかしくはない大円団です。
みゅうと、カワユイです。
前述の通り、私はこのアニメのキャラデザがあまり好きではないのですが、みゅうとの愛らしさだけは認めます(^ ^);
原案&キャラデザの女性は美少年趣味なのでしょうか?
ヨーロッパ風の寮生活、親友ふぁきあのゲイっぽい横暴独占ぶり、長い白シャツをパジャマにしたみゅうと。。狙ってるよ♪と言わんばかりに気合いが入っています=33
それにしても「みゅうと」とか「ふぁきあ」とか、日本人ばなれしたヘンな名前ですね~3
猫がバレエ教師な時点でヘンですが。。この「猫先生」、擬人化されてはいますが、リアルに猫なのです。
猫先生に限らず、本作には擬人化された動物達が、町の生活の中に溶け込むように登場します。
割合的には20~30%といったところでしょうか。
それに違和感を持つ人間は一人もいません。
かの名作「十二国記」の半獣のような存在、とも思われます。
そしてこの動物たち、かなりきっついデォルメの人間たちに対して、ピーターラビットのごとく、やたらリアルに描かれているのです。
でもピーターラビットと同様、可愛らしいのでご安心を。
アリクイのバレリーナの回は大爆笑(^ ^)!
。。「卵の章」の解説(なってねーよ;)はこの辺りで。

後半「雛の章」は14話からです。
シュールさは暴走し、愛の形を問うテーマはシリアスで重く、作品の雰囲気も暗く怖ろしいものになっていきます。
これではもはや、お子ちゃまは置いてけぼりでしょう。。
前半ではあんなに愛らしかったみゅうと、後半ではダークサイドに入り、私を魅了した愛らしさが消滅してしまいます;
ダークでも魅力的な黒王子に変化したのなら良いのですが、混乱して頭がおかしくなってしまうのです;
作画的にはますます気合いが入ってカワユイのですが、混乱して言動がどんどん気持ち悪くなっていきます。。そんな彼を、どうしてこれ以上愛せるでしょう;;
こんな風になるなら、自分の意思がまるでなく、ぽわんと白シャツ一枚でプラプラしているバカ王子に戻ってもらいたい位です。。むしろ我々アニヲタは、そーゆー知性や意思を感じない美少年少女の方が、時に激しく萌ゆるのではないでしょうか?
代わりにヒーローとして台頭してくるのが、みゅうとの親友、ツンツン(ツンの方が多)デレのふぁきあです。
残念ながら、作画的には全く私の好みではありません。
でも、ヲタの女性の中には、萌える方もおられると思います。
ドラゴン〇ールだったら悟空よりベジータ様が好き!という女性なら、ぴったりと好みに合うでしょう。
うん、彼はベジータ顔です。。
前半ではヘッポコ騎士どまりだったふぁきあ、後半ではとんでもない伏線が用意されていて、物語における最重要人物と化していきます。
ツンツンデレな性格も、ツンデレデレ(デレの方が多)と変化していき、性格上の魅力が消滅していく狂王子みゅうとに対し、(腐)女子心にガンガン魅力をアピールしていくのです。。ベジータ好きの人が羨ましい、画的に萌えられない私;

そんなこんなで物語は終焉へと向かいます。
シュールさが暴走し、重い雰囲気の「雛の章」に疲れ気味だった私ですが、そのラストには落涙寸前;
前半章のラストは作画音楽ともバランスが取れて美しいものでしたが、安定パイレベルの感動ともいえました。
それに比べ、後半の真のラストは、シュールが暴走しつつ、観る者の心を打つようなものだったのです。
だってさぁ、お風呂にぷかぷか浮いてるよーなアヒルが、傷つけられても懸命にバレエを踊るのよ?真面目な顔で。
画的には超シュールで、物語を知らない人が観たら、プッと吹き出すと思う!
。。でも、全話を追ってきた者にとっては違うんですよね。
だって、懸命に踊っている黄色いおもちゃみたいなアヒルが、どんなにけなげで報われない想いのもとに、小さな命を懸けているのか、そのいじらしい愛を理解しているから。。
詳しくはネタバレになるから書きませんが、おもちゃみたいなアヒルの小さな恋も、ふぁきあの淡い想いも結ばれることはありません。
でも、たとえ思い通りにならない、報われない想いだとしても、様々な形の愛を表現した登場人物の中で、不幸な結果に終わった者は一人もいないように思います。
たぶん(腐)女子制作陣の暴走はあれども、やっぱりサトジュンは乙女の味方、ハッピーエンドの巨匠なんですね♪♪

ちなみに本作、海外の方が人気を博しているようで、北米では放映中にクリスマス特番等の特番が制作され、DVDの売れ行きも好評、数年に一度全シリーズが再販されるそうです!
原産国日本では、単巻が一度っきり発売されただけみたい;
たしかに本作のきっついデフォルメは、ディズニーアニメに通じるものがあって、アメリカ人の方が馴染みやすいカモ。
愛の形をテーマにしたダークでヘビィな後半も、おませなアメリカ人少女たちにはウケたのでしょうか。
北米版OP『Hold Me Now』は、カッコイイ~!!
水滴とピアノの音で始まる、日本のオリジナルOPのやさしい調べとは正反対、パンチの利いたロックな曲です。
日本版OPは癒し系メロディの名曲だと思いますが、ロックの本場アメリカの少女たちにしてみれば、そんなぬるいOPでは観る気も起こらないのでしょう。
本編中のクライマックスシーンを、パンチの利いた音楽に合わせ、登場人物達が激しく踊るように組み合わせた、北米版OP『Hold Me Now』、めちゃくちゃカッコイイ名曲なので是非ご鑑賞下さい♪♪
「プリンセスチュチュ 英語」でググると出てきますよ~
プリンセスチュチュの英語版や、アニメ好きの「アリゾナのじいさん」のインタビュー等、英語リスニングの勉強がてら楽しめマス(^ ^)V

投稿 : 2025/03/01
♥ : 24
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

バレエ

おジャ魔女どれみと作画や絵風は似てるのに
内容が大人向け・・いえ、大人でも楽しめる内容でした。

以前からずっと観たかったので、
通勤時間を利用してタブレットで加入してるアニメパスで視聴しました。

よく、宣伝のためか有名アーティストを使用するアニメが多いですが
このアニメはOPで世界観を壊すことなく、むしろ引き立てているので毎回飛ばせませんでした。
フルバのOPを歌った岡崎律子さんの優しい歌声が心に染みます。
間奏で「くるみ割り人形」の曲のフレーズが聞こえるので懐かしい気持ちになりました。
世界観もキャラクターも個性的で大好きです。

<気になったことや色々> ネタバレです
ネタバレレビューを読む

<バレエエピソード>
ほんの少しの経験談なので飛ばして構いません。
ネタバレレビューを読む

プリンセスチュチュとなったあひるの一人のパ・ド・ドゥの足の震え具合
(あのバランス感覚と痛みはどれくらいだろう)
OPのアヒルの姿、作中のマイム。
アラベスク、グラン・フェッテ。どれも懐かしいです。

プリンセスチュチュを見た後、つい昔みたいに踊りたくなって
自室でピルエット(片足軸で回転する技)してしまいました。
一つ後悔は、柔軟性を保つために辞めた後もストレッチをサボらなければ良かったということだけ。
もう今は体が硬い・・(震え声)

投稿 : 2025/03/01
♥ : 46
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「物語の物語(meta-fiction)」を目指した作品

沢山の人が感動した名作アニメで特にまどマギ好きな人にお薦め作品ということなので、これは見とかないといけないかな、と思って視聴開始しました。

とりあえず前半13話(卵の章)を2巡完了。
前半だけでも中々見どころ豊富と思いました。
確かに2002年の作品ということで、最近のアニメに慣れた目から見ると作画は古いし演出も余り効果的とはいえないけど、特に前半のラストとなる13話に向けての流れはとても良いと思います。
でも、このアニメが本当に面白くなるのは後半らしいので、前半のストーリーをしっかり押さえるために敢えて13話見終わったあとで第1話に戻ってもう一度全話視聴し直してみました。
多分これで登場人物たちの心の動きにも見落としはないはず。

さて、ここから後半13話(雛の章)を細かくレヴューしていくことにしよう。

ネタバレレビューを読む

見れて良かった。。。。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 21

65.8 7 クラシック音楽アニメランキング7位
グラスリップ(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (1166)
5342人が棚に入れました
ガラス工房を営む一家の娘・深水透子は、友人の家にあるカフェ「カゼミチ」を友人たちとの憩いの場所にしている。高校3年の夏休み、彼女たちの前に現れた転校生の少年・沖倉 駆は、透子に、自分には未来の声が聴こえると語りかける。もし、あらかじめ未来を知ることができるのなら、自分は何を望むのだろう? 感じたことのない動揺を覚えながらも、透子は胸の中に、放っておけない感情が生まれていることに気が付く...。

声優・キャラクター
深川芹亜、早見沙織、種田梨沙、逢坂良太、島﨑信長、山下大輝、東山奈央、茅野愛衣
ネタバレ

アガパンサス さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

グラスリップ解説最新版・分かりました

ネット上では「分からない」としか言われていない本作品。
いくつかの話をピックアップして見ていこう。ただし最終回の伏線になっているところは途中でも解説してしまうので、一通り観てからこのレビューを読んでくださいです・・・

1話のポイント
ネタバレレビューを読む
2話のポイント
ネタバレレビューを読む
3~6話は、あまり重要ではない。未来の欠片をめぐって視聴者はじらされる。その中で、次第に5人の中の恋愛感情が育っていく回だとみておけば、大きな間違いではないだろう。一応5、6話だけ少し。
5話のポイント
ネタバレレビューを読む
6話のポイント
血なまぐさいケンカがあるが、それ自体はあまり重要ではない
ネタバレレビューを読む
7話のポイント
未来の欠片の正体が判明したり、カケルの今までの人生がどういうものだったかが明確になる非常に重要な回である。
ネタバレレビューを読む
8話のポイント
カケルと透子の関係が重要な段階に入る。
ネタバレレビューを読む
9話のポイント
ネタバレレビューを読む
10話
ネタバレレビューを読む
11話
ネタバレレビューを読む
12話のポイント
2話の重要な伏線が回収される回である。
ネタバレレビューを読む
13話のポイント
この回ですべての重要な伏線が回収されると言ってよい。
ネタバレレビューを読む
<まとめ>
グラスリップは、要約すれば「カケルが透子と出会うことによって人生の意味を見出した」アニメと言えるだろう。
<感想>
ここまでメモを取りながら「読む」アニメは初めてだった。何度一時停止をしたか分からない。でも「分かった」時の感動はすごいものがある。いやー感動しますよ。TARITARIをはるかに超える、爽やかな美しい感動ですよ。

<補足>
OPで少し幼い透子たちが描かれている意味
→この時点でヒロがサチに好意を抱いている。つまりこのころから5人の関係は変わり始めていたが、表面的には今まで通りのつもりだった・・・と解釈できる。ちなみに、サチと透子が親しかったらしいこともわかる。
ジョナサンがカケルならニワトリが5羽しかいないのは何故?
→ジョナサンはカケルだけでなく透子も象徴しているのではないか?二人とも最後は唐突な当たり前の孤独を共有し、最後はそれを振り切って前へ進んでいくという共通点がある・・・トビはもちろん、カケルのように「世界を外から見る冷めた視点」のようなものを表している。
「グラスリップ」の意味
→グラスとトリップ(旅)と西山監督が言っている。個人的にはこちらの方が好みですね。透子がガラスのようにキラキラしたものの向こうに「未来の欠片」を見る。これを「未来へ飛ぶ=トリップ」と捉えたイメージ。しかしそれではスペルがGlassripにならなければならない。
→Glass+slipで「ガラスが滑る」という意味もある。ガラスが滑ると割れる=5人の人間関係が壊れる、ということ

<日本アニメの終焉について>
 こういう難解なアニメが受けなかったということは、もう日本のアニメは終わりに来たのかなと思えてくる。
 ざっくりと日本のアニメ史を分けるとするならば、昭和世代と平成世代に分けることができるだろう。昭和時代の作品は「何かが起きて」物語の進行とともに大きな山「クライマックス」ができる、という素直で爽快な「格好いい」ストーリー性があった。
 しかしこうしたストーリー性のネタが次第に切れてきた。それが平成時代である。ここで登場したのが「何ですかこれ」的な作品である。それは例えばセーラームーン(ただしTV版、原作は根本的にテーマが異なる)のようなパロディ性のあるものであったり、エヴァンゲリオンや少女革命ウテナのようにストーリーの軸を視聴者の予想を「あえて」裏切る形で完結させようとする作品であった。これは、ネタ自体の新しさを追求するのに限界が生じたために、その構成の仕方について新しい手法を提案したためである。これは、ストーリーにいくつかの解釈の可能性をもたせるものであるため、「考察厨」の間で論争が起き、「話題」になることによって作品が売れる、というビジネスモデルであった。しかし視聴者はすぐにこのモデルに順応してしまい「慣れて」しまった。こういう作品を苦労して作っても、「要するにいろいろな解釈をすればいいのだな」「考えるのではなく感じろ」という風に「冷静な」感想しか出てこない。
 視聴者にインパクトを与えるにはどうしたらいいのか?昨今のマンガ作品は「どれも似たようなもの」や「既に観たことがあるもの」になってしまっている。萌えに走るとただのエロアニメとして批判され、ギャグはネタが古いorひねりすぎとして批判される。SFは既に科学の世界で実現しつつあるものか、既に実現したもののデフォルメでしかない。「技術」に走ってグラスリップのような作品を作ると、「どう解釈することもできない」意味不明な作品と受け取られてしまう。だから、新しいものを作っても新しさが今一つだし、ウケないのだ。
 どこの世界でも、最近「イノベーションの重要性」が叫ばれつつあるが、これはイノベーションが困難になってきている証拠だと思われる。
 ホント、これからのアニメ界、どうしたらいいのでしょうね。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 57
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ガラスを透かして見た世界の向こうは、あやふやなれど美しい

この作品、皆さんの評判がすごく悪かったので逆に見てみたくなりました。
いえただ単に評判が悪いだけならスルーするところなのですが、皆口をそろえて「意味が分からない」との感想ばかりで。
何がそんなに意味不明なのだろうと見始めたのが経緯です。


結果として、確かにむず痒い感覚の残る作品でした(笑)

でも悪い作品かというと個人的にはそう思いません。
グラスリップを見ている間は色んなことが頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消え・・・意味は全て理解できなくとも心を満たしてくれました。

こういう作品なので、たまには足りない頭を絞って少し考えてみたいと思います。
一応本編及び『true tears』のネタバレを含むことをご承知の上でお読みください。



ものすごく長いネタバレレビューを読む



あと、当たり障りない印象として
ネタバレレビューを読む



いや~~・・長い。長すぎる。
グラスリップとこのレビュー、どっちが分かりづらいか良い勝負ですね(笑)

考察を要する作品が必ずしも良い作品となるとは限りません。
でも僕はこうやってグラスリップについて考えて想いを馳せている時間がとても楽しかったです。

もちろん皆さんのレビューを見た上で、ある程度の覚悟と知識をもって臨んだから今の感想があるのだと思ってます。

だから、どんな酷評でも全員のレビューにサンキューを付けたいほど感謝しています。

ありがとうございました。

僕から言えることは、恋愛に囚われず広い目線で物語を眺めて下さいということです。

あ、ネタバレ部分の解釈は全部自己流の解釈なのであまり参考にはならないかもしれません。ごめんなさい(笑)

投稿 : 2025/03/01
♥ : 36

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

惜しい感じがする

福井県坂井市が舞台だったかな。
ガラスを通して不思議な感情だったり、未来予知だったりを主人公の深水透子が経験して不思議な体験をするお話だったような。

ラブストーリーな展開もあるのかなと思ったけど、もう終わり?という感想だった。もうちょっと掘り下げてほしかったかな。
早見沙織さん演じる高山やなぎは良かったンゴ。
キャラソンも

キャラクターが魅力的で主題歌もガールズアンドパンツァーや氷菓などで波の乗っていた?ChouChoと花咲くいろは絡みもあるnano.RIPEでよいし、P.A,WORKSだけあって作画もよかったのですが、物語の内容が惜しかったと感じました。2クールやれば、面白くなったかも。

OP
夏の日と君の声 ChouCho
ED透明な世界 nano.RIPE
イメージソング
ルーセントアイズ ChouCho


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
ガラス工房を営む一家の娘・深水透子は、友人の家にあるカフェ「カゼミチ」を友人たちとの憩いの場所にしている。高校3年の夏休み、彼女たちの前に現れた転校生の少年・沖倉 駆は、透子に、自分には未来の声が聴こえると語りかける。もし、あらかじめ未来を知ることができるのなら、自分は何を望むのだろう? 感じたことのない動揺を覚えながらも、透子は胸の中に、放っておけない感情が生まれていることに気が付く...。

1. 花火
大勢の人で賑わう花火大会会場。深水透子と高山やなぎは、やなぎが輪投げで手に入れた不思議メガネをかけてはしゃいでいた。透子がメガネをかけると、ぼんやりとした風景とともに「やっと見つけた」という声が聴こえてくる。一瞬戸惑ったものの、親友幸へのプレゼントにぴったりなノアベルを見つけたこと、また井美雪哉と白崎祐が屋台で大量に買ってきた食べ物の前に、その出来事は忘れてしまう……。後日、学校でにわとりのジョナサンをモデルにしてクロッキーをする透子に、ひとりの男子生徒が声をかけてくる。その優しい声音はどこか聞き覚えがあった。

2. ベンチ
いつものように祐の祖父が経営するカフェ「カゼミチ」に集まった透子たち。そこに現れた沖倉 駆は「俺はあの日、君と同じものを見た」と透子に告げる。いきなり来て馴れ馴れしく話す駆を警戒する雪哉たちだったが、駆は気にせず透子に待ち合わせ場所と時間を伝え立ち去ってしまう。微妙な空気が残る中、幸は戸惑う透子を見て彼女に同行することを決める。翌日、駆は幸がいることに特別驚く様子もなく、「透子には何かきっかけがあると、幻覚のようなものが見えるんじゃない?」と、彼女たちしか知らないはずの事実を口にするのだった。

3. ポリタンク
駆と一緒にいる時、きっかけがあれば“未来の欠片”がはっきり見えること。そして、やなぎのことを好きだと思っていた雪哉からの突然の告白。今までの日常が大きく変わろうとしていることへの不安と、親友たちが離れ離れにならずにすむ方法を考えた末、透子は駆に頼み“やなぎと雪哉の未来を見る”ことを決意する。自宅に隣接する工房でガラスを吹きながら駆を待つ透子は、おぼろげな“欠片”を見はじめる。そして突如それは鮮明になり、やなぎの泣き顔が映し出される……。一方、祐もある想いを胸に秘め、明日行われる登山に備えていた。

4. 坂道
登山の帰り、幸が入院しているイメージを見た透子は、彼女からの着信に慌てて出るも、予想とは違い、やなぎがレッスン中に右足を怪我したと聞かされる。急いで病院に向かった透子だが、右足に包帯が巻き松葉杖を使うやなぎと、肩を貸す雪哉の姿を見て、微笑みながらそっとロビーを後にするのだった。一方、ケガもなく無事に帰宅した幸は、登山の時に祐と交わした会話、「俺、幸って名前……好きだな」という言葉を思い出していた。そんな時、借りた本を返しに祐が幸の家を訪れる。玄関先でいつもより緊張している祐に対して、幸は「あがる?」と声をかける。

5. 日乃出橋
怪我から復帰して初めての記録会に向かう雪哉と、それに付き添うやなぎ。雪哉は緊張はしていないつもりだったが、やなぎが持つ動画用のビデオカメラからは自然と視線を外していた。一方、カフェ「カゼミチ」をひとり訪れた透子は、祐の祖父から祐は今日デートで店にはいないと聞かされる。思わず携帯で幸の番号を呼び出そうとして思いとどまるが、その足は自然と幸の家に向かっていた。透子の訪問に慌てた祐は見つからないよう幸の部屋から脱出。だが幸は、付き合っているわけではないが、つい先ほどまで祐が部屋にいたことを透子に伝える。

6. パンチ
まだ薄暗い早朝から工房に入りガラスを吹く透子。同じく朝早くから目覚め“未来の欠片”によって透子の声を聞いてしまう駆。“未来の欠片”のせいで駆を意識してしまう透子は、駆から電話があってもろくに話さず切ってしまう。午後、祐からの電話でカフェ「カゼミチ」にいつもより早く呼び出された透子は、幸とのことを打ち明けられ、また後から来たやなぎからは、雪哉に告白したことを聞かされる。これまでの関係が徐々に変わり始めるなか、祐から幸へのサプライズ花火大会が提案される。

7. 自転車
自宅前の海岸でやなぎと話す透子。雪哉と駆の勝負にやなぎが平手打ちで割って入ったこと、幸と祐の関係、そして幸の検査入院について話していると、波のきらめきをきっかけにして“未来の欠片”が見えてしまう。それは病室で横になっている幸の笑顔、そして傍らには祐の姿があった。嬉しくなった透子は思わず「やっぱり幸、大丈夫」と口にしてしまい、いぶかるやなぎに対して、慌ててごまかすのだった。一方、幸の病室を訪れた祐は、初めて幸の母親に出会う。緊張する祐だが、幸に「ボーイフレンド」と紹介され、さらに身体を強張らせるのだった。

8. 雪
夕暮れの波打ち際で見た“未来の欠片”は、透子が倒れ込むほど強烈なものだった。駆は「きっちり説明してもらうから」というやなぎの台詞を聞きながら、彼女に連れ帰られる透子を見守ることしかできなかった。後日、幸のお見舞いに訪れたやなぎは、雪哉が自分に黙って陸上部の夏合宿に行ったこと、幸と祐のこと、海での出来事と透子と駆の関係を彼女に話す。そして透子と駆の間に何か秘密があるのではないか? もし知っているなら教えてほしいと頼むが、幸は、どこか悲しそうな表情を浮かべながら「特別な関係なのかも……」と答えるのだった。

9. 月
雪……そしてキス。そんな駆との“未来の欠片”を見た透子。いつもなら聞こえてくるはずの“未来の欠片”が聞こえない駆。合宿に行った雪哉にメールを送るやなぎ。メールの送信者を見て朝練に向かう雪哉。祐に「夢十夜」というメールを送る幸。幸からのメールの内容が夏目漱石の小説だと知る祐。お互いどこかギクシャクしているものの、それぞれの未来が少しずつ動き始めていた。そんな中、透子は幸から「約束の場所に行きたい」と連絡を受ける。少しとまどいつつ待ち合わせの時間と場所を決めるのだが、その後祐にも、幸から、同じ時間と場所のメールが届く。

10. ジョナサン
麒麟館の展望台。“約束の場所”で透子と祐に告白した幸。驚く2人を見てどこか吹っ切れた様子の幸は、3人で月を見上げていることに嬉しさを感じる。その夜、自宅で妹の陽菜から、やなぎが“新しい自分になる”と言っていたと聞かされた透子は、自分も前に進むべく駆との関係をあらためて考えることに。翌日、駆の家を訪れた透子は、駆の母から、ピアニストとしての母の仕事の関係で転校を繰り返してきたこと、そのことによって感じる孤独を、駆が「唐突な当たり前の孤独」と呼んでいたことについて聞かされる。

11. ピアノ
美術準備室の壁に寄りかかり静かに座る透子と駆。以前見た未来の欠片が現実となったことに困惑しながらも嬉しく思う透子だったが、「駆君、私のこと本当に好きなのかな?」「私たち何もわかり合ってない」と心に引っ掛かっていた思いを口にする。自分の気持ちを見透かされた気がした駆は、自分が未来の欠片を見るきっかけでもあった母が弾くピアノを聴きに来てほしいと、透子に伝えるのだった。一方、幸は祐に、また山に登りたいと告げ、雪哉は初めてやなぎのレッスンを見学しに行くことを決める。それぞれがそれぞれの明日のために動き出した。

12. 花火(再び)
父がガラス工房を持つことになり、東京を離れ家族で引っ越してきた深水透子は、慣れない土地でうまくやっていけるか不安を感じていた。そんな時、駅で偶然出会った沖倉 駆。彼に連れられカフェ「カゼミチ」を訪れた透子は、井美雪哉、高山やなぎ、永宮 幸、白崎 祐たちと出会う。小学校の時からずっと一緒だという彼らに誘われて、透子は花火大会を見に行くことに。雪哉とやなぎ、祐と幸、そして駆と透子。それぞれが楽しそうに花火を見上げている風景。それはもしかしたらあり得たかもしれない、透子の未来の欠片が紡ぐ世界だった――。

13. 流星
透子が見た世界。彼女にとってその衝撃は大きく、駆の母のピアノ演奏が終わると同時に気を失ってしまう。透子が目を覚ますと、そこには心配そうに彼女を見つめる駆の姿があった。自分のせいで危険な目にあわせてしまったと感じた駆は自らを責めるのだが、透子はもう少し駆の家にいたいと言う。心配する家族を帰してひとり残った透子は、もう一度ピアノが聴きたいと駆の母に願いでる。そして曲を聴きながら透子は駆が居なくなると感じるのだった。その頃「カゼミチ」には雪哉、やなぎ、祐、幸が偶然集まっていた。長く短い夏がもうすぐ終わりを迎える。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 5

71.4 8 クラシック音楽アニメランキング8位
takt op.Destiny タクトオーパスデスティニー(TVアニメ動画)

2021年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (326)
933人が棚に入れました
「苦悩を突き抜けて、歓喜に至れ――L.V.ベートーヴェン」音楽は人の心を照らす光――突如として、その『光』が世界から奪われる。空から黒い隕石『黒夜隕鉄』が降った夜、世界は様変わりした。黒い隕石から生み出された異形の怪物『D2』が、大地と人々を蹂躙し始める。D2は人の奏でる旋律に惹かれ、やがて『音楽』そのものが禁忌とされた。だが、その怪物に抗う者達が現れる。音楽を力とする少女達――『ムジカート』彼女達は、人類史に残る偉大な歌劇、楽曲の楽譜(スコア)を身に宿し、D2を撃ち破る力とした。そして、彼女達を指揮し、導く『コンダクター』2047年。D2との抗争によって荒廃したアメリカ。コンダクターの『タクト』は、ムジカート『運命』と共にニューヨークを目指して旅していた。音楽が失われた世界で、音楽を渇望する『タクト』D2の殲滅を望むムジカート『運命』二人の少年と少女が生み出す旋律は、歓喜かそれとも絶望か――
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

途上のポリフォニー

「音楽の危機」と「危機の音楽」。
本作の設定、いわゆる世界観をまずはこんな風に要約できるだろうか。
侵略者により危機に瀕した世界と音楽。そこに出現した
兵器となって闘う音楽、ムジカート。―そのそれぞれが
主人公タクトの物語、ヒロイン運命の物語として展開される。

ところで、本作で「音楽」が指し示す意味は単一ではない。
例えば「音楽は人の心を照らす光」のような、
主語化されたフレーズだけで捉えようとすると逆に不明瞭になる。

本作ではすべてが「音楽」を介して物語られている。
その多様な現れを「―としての音楽」というかたちで析出し、
それらがポリフォニーのように有機的に連関し、ストーリーの展開を推進する
力学的な構造を想定しつつ、物語の意外な厚みを掘り下げてみよう。


ネタバレレビューを読む


毎期の終わりに、デジャヴのように繰り返される、
ソシャゲ原作アニメへの定番化した評価は本作にも及んでいる。
曰く、作画凄い、キャラ可愛い、ストーリーは薄っぺら・・・等々。
勿論、出色のバトルシーンこそが本作の華であることは言うまでもないが、
バトルに十分な尺を割けば、しわ寄せがストーリーにいくのは当然で、
ドラマメインの場合とは異なった描出法が必要になってくるだろう。
音楽。闘争。愛。主要なモチーフを巧みに組み合わせた緊密な構成と、
細部まで緻密に練られたシナリオによって、そこはクリアされていたように思う。

ネタバレレビューを読む

ただ、惜しいことには、通常の説明的な描写に慣れた耳には繊細過ぎ、
十分に聴き取れずに終わるかも知れない。自分もそうだったのだが、
再視聴してみるとかなり印象が変わる作品である。

(2022.1.1 初投稿)

投稿 : 2025/03/01
♥ : 22
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

いい意味で裏切られました。話の畳み方はかなり秀逸だと思います。

 え、何ですかこれは?いいじゃないですか。7話以降尻上がりに良くなって行って、10話~12話はかなりいい出来だったと思います。

 どうせ話が畳めないで続きはゲームで…かなあ、と思っていたのが思いっきりいい意味で裏切られました。
 謎は残りました。敵の正体とムジカ―トとは何ぞや?ですね。ただ、この辺は昔の世界系と同じと割り切ればいいでしょう。

 初めの数話の話が弱い感じなのが欠点といえば欠点なのですが、2回目視聴したら印象が変わるかも、という可能性を感じます。再視聴の機会があれば追記するかもしれません。

 使命のための命がけの戦いという話に、消えた人格の中に新しく生まれた愛情というなかなか良く練られたストーリーでした。過去の因縁もありましたし。それに主要登場人物のキャラの造形がきちんと表現されていたのも物語が楽しめた要素だと思います。

ネタバレレビューを読む

 アニメは綺麗だったし、バトルシーン、3Dの出来、華やかさ、音楽がとても良かったです。
 あの2Dだと横顔のとき口の位置が歪む不自然な作画じゃなかったので横顔の時の唇の動きが楽しめました。



以下視聴時のレビューです。

7話ネタバレレビューを読む

6話ネタバレレビューを読む


5話 ネタバレレビューを読む

4話 見ました。
ネタバレレビューを読む

3話見ました。
ネタバレレビューを読む


2話見ました。EDの絵の雰囲気が良かったですね。

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 30
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

to end the "all" , to begin the "you"

またまた中二病タイトル。くー!イタイ!!!

この話は音楽を自粛した世界での話

主人公は内山昂輝さんです!!!よろしくお願いいたします!!!!
ということで神作品確定演出がきたので帰ります。

Q 面白かったんですか
A 面白かったです。だが惜しい!!!

要素としては本作はかなり良い出来だと思いますが、全体として繋げた時の違和感、そして細かい所に対する疑問(ツッコミ?)の存在、が本作を手放しに褒めることが出来ない理由です。

ネタバレレビューを読むネタバレレビューを読むネタバレレビューを読む!!本来ならばかなり私の好みにぶっ刺さっている作品なはずです。しかし、いざ繋げてみると不自然。おそらくネタバレレビューを読むですかね。
そして疑問の存在。ネタバレレビューを読むまぁ答えがない、というのがオチでしょう。あ、私が見逃してるという可能性もあるのか…ワンチャン…ゲームですべてわかる系…?

とりあえず。今こうして振り返ると要素要素がピックアップされ「ああ。あのシーン超好きだなぁ」とはなりますが、決して「ああ。この作品超好きだなぁ」とはならないということです。いやなる人もいるでしょうけど。

ネタバレレビューを読む

監督は伊藤祐毅さん。グラブルの方ですね
シリーズ構成は吉村清子さん。ヴァンガードの方ですね
キャラデザは長澤礼子さん。
劇伴は池頼広さん。SDガンダムの方ですね
アニメ制作はMAPPAさんとMADHOUSEさん。呪術廻戦の所とオーバーロードの所ですね。

作画は良く戦闘シーンも含め丁寧に描かれていたと思います。キャラ原案も良く、非常に満足できる作画でした。
声優さんはとても豪華で非常に素晴らしい演技でした。

何を得たのだろう。何を失ったのだろう。
ということで

投稿 : 2025/03/01
♥ : 6

70.9 9 クラシック音楽アニメランキング9位
のだめカンタービレ フィナーレ-finale(TVアニメ動画)

2010年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (431)
2391人が棚に入れました
千秋はマルレ・オケでの活動を軌道に乗せはじめていた。
一方、のだめは、オクレール先生から出される課題に追われる日々を送っている。コンクールに出たいという希望も先生に一蹴されてしまうのだめ。レッスンを終え、疲れ果てて帰宅したのだめを、さらなる不幸が襲う。なんと、千秋がしばらくの間、騒々しいアパルトマンを出て行ってしまったのだ…。
先を急ぐ千秋と千秋に追いつけないのだめ。のだめの焦りは募るばかりだった…。

声優・キャラクター
川澄綾子、関智一、松風雅也、大原さやか、伊藤静、浅沼晋太郎、日野聡、森川智之、清川元夢
ネタバレ

柴犬→柴猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ちゃんと分けて、ひとつになった

【個人的殿堂入り作品】
傑作である。
原作理解度の高い今千秋監督を先頭に構成の中島かずきさん、
脚本の横谷昌宏さん、大野木寛さん、吉田玲子さん、丸尾みほさんといったベテラン陣に支えられ、
かつて見ない程の濃厚な音楽ドラマとしてここに完結した。
本作は原作の17~23巻の部分にあたる。
話は段々とシリアスになって行くが、各所にギャグをちりばめ、決して重くなり過ぎることはない。
また『千秋とのだめと音楽の関係』に絞って再構成されているので、
話が散漫になることはなく、後を引く面白さがある。
(個人的には千秋と父親の関係の話が全面カットされたのが良かったと思っている)
最終回を原作を読んだ時、正直微妙な終わり方だなと思った。
(実際、賛否両論だった)
しかしこのアニメ版を見てから、その認識は変わりつつある。
演奏される数々の曲が説得力を持って私に語りかける。
「これで良いのだ」と。

【クラシック四方山話③】
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110

1821年に完成した作品で、俗に言う『後期3大ソナタ』のひとつである。
表題の付いていない曲なので一般的な知名度は低いが、
音楽的にも構造的にも魅力的な曲で、好きな人も多い。
この頃のベートーヴェンは既に耳が全く聞こえなくなっていた。
更に経済的な困窮や身内の問題などで苦悩は多く、この作品にもそうした悲嘆が色濃く反映されている。
中期の作品であれば、そうした『運命に抗い、高らかに歓喜を歌う』曲になるのであるが、
晩年に書かれたこの曲は違う。
嘆きの後に続くのは、現状を受け入れることでその苦痛から開放されようとする諦観である。
しかしまた不意に襲いかかる嘆き。
その後曲は次第に元気を取り戻し、最後は力強く終結する。

ネタバレレビューを読む

【ちゃんと分けて、ひとつになった】
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 3

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

20周年を迎えた伝説的な人気作完結編!良作の青春ラブコメを見たい方、見るなら今がオススメです!

原作漫画未読。ドラマ版視聴済み。アニメ1期、2期視聴済み。
全11話。

舞台は引き続きパリ。真剣に音楽と向き合い、ぐんぐんと成長を続けるのだめとそれを見守る千秋。2人の音楽と恋が、ついにクライマックスを迎える。アニメのだめカンタービレ第3期!フィナーレ!

今まで1期からずっと見続けてると、3期目のラストに向けての千秋先輩の献身的で一途な愛がとっても良くて、ほわ~ってなってました。2人の出会った時の関係性が、いろんな経験と出会いを通して徐々に変化し、追いかけたり、飛び越えたり、隠れたり、抱きしめられたり、特別な存在になっていく2人がとってもとっても本当に良くて、11話しかない事に泣きました。続きが見たい。
まだまだのだめも千秋先輩も道半ばでこれから更に前に進んでいくと思うので、原作も終わってしまっているけど、続きが見たくなりました。

この作品のメインであり、超強個性キャラのだめ。言わずもがな良いキャラですが、やっぱこの作品は千秋先輩という心底良いキャラがいるから輝くなと、、しみじみ思いました。
千秋真一というキャラが、少しでも違ったキャラ設定だったらこの作品をここまで楽しく見れてないと思う。イケメンでお金持ちで努力家で才能に溢れてて、性格は少し意地悪だけど世話焼き…ハイスペック過ぎる。作中で、優しいけど甘すぎず、ちょっと頑なだけど誠実。と評される千秋真一…キャラメイクが良すぎました。

千秋先輩役の声優:関智一の演技も凄く良かった。最初の頃から頑なさの中の優しさを凄く感じる演技だったけど、恋人関係になってからの深い愛情、尊敬を含めた愛のこもった甘過ぎない甘さが素晴らしかった。特に6話の2人でレッスンする回好きだったな~。

演奏されるクラシック音楽は、物語上での2人の心境やぶつかる壁に合わせた背景がある楽曲が流れるので、今までクラシック音楽聴いても作曲家の意図とか書いた時の作者の心境なんて気にしたことも無かったけど、そういう楽しみ方も出来る音楽なんだなって事が分かりました。きっかけがないとクラシックってハードル高くて中々行けないけど、この作品を好きになったから行く動機になったなって思います。

アニメ第3期まで一気に全部見ちゃうくらいにハマって、今はのだめカンタービレの事しか考えれないくらい、のだめ脳になってます。ドラマも見返して、原作漫画も読んでみたいと思います。昨年2021年に20周年という節目の年を迎え、今年も色々な催しがあり、ミュージカル化も決定した様なので、いい時期にどっぷりハマれたなって思います。
気になってる方!見るなら今!今なら供給過多です!
所々に刺さるセリフも出てきて、青春ものとしてとっても優秀だし、テンポも良く、程よいコメディ感も良く、2人の関係を描く恋愛アニメとしてもとってもハイクオリティな今作品。
人気なものには理由がある。この作品の人気にはしっかり中身と理由があります!男女ともにオススメです!

投稿 : 2025/03/01
♥ : 9

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

のだめと千秋の音楽に賭けた青春の夢の始まり それが最終章

2010年放送のテレビアニメ 全11話

原作 二ノ宮知子 監督 今千秋 構成 中嶋かずき キャラデザ 島村秀一
音響監督 明田川仁 制作 J.C.STAFF

OP「まなざし☆ディドリーム」さかいゆう ED「風と丘のバラード」Real Paradis

4クールにわたって描かれた千秋真一と野田恵の青春ストーリーのフィナーレです。
原作はKissに2001年から2010年に渡って連載され、
音楽家を目指す若者の物語としてスタンダードになったと思います。

第三期と言っても第二期巴里編と舞台時期共に連続しているため、
後半2クールは連続して視聴することをお勧めします。

世界中からクラシック音楽の才能に恵まれた若者が集う街の一つ巴里を舞台に、
主人公「のだめ」が苦闘と飛躍、称賛と挫折を知り成長して行く最終章です。

天才と呼ばれる学生だらけですが、のだめと同期でそれなりの稼ぎがあるのは、
プロダクションと契約後の千秋と、神童として世界巡業の経験があるソン・ルイだけでしょう。
それ以外は、どんなに優れていようが親のすねかじりの学生です。
華々しく見えたのだめのコンサートもギャラは微々たるものと言う発言がありました。
シュトレーゼマンとの共演ならそれなりでしょうが、一回限りです。

18世紀なら音楽家は自由に信じる道を歩めたとか言われていましたが、
映画「アマデウス」など観た感じでは、やっぱり現代とそう変わらずに厳しい印象ですね。

世界中の音楽の神童はヨーロッパに留学し、大物に師事し、有名演奏家と共演し、
その経歴を生かして地元で生活を安定させて音楽活動を続ける。
と、信じている人は居るのでしょうか?
どこの国でもそんなに音楽家は必要とされていないのです。
ヨーロッパにとどまった人が勝ち組、帰国した人には幼稚園の先生並みの仕事しかありません。
家庭が裕福でなければ、演奏活動を続ける道は非常に狭いものです。

現代に現れたモーツァルトだったかもしれない「のだめ」と、
プロ音楽家として成功を収めつつある千秋のゴミ屋敷での出会いから、
恋をはぐくみ、お互いを理解しあえるようになるまでの成長を描いた、
「のだめカンタービレ」その一区切りがこの作品でした。

18世紀に比べてクラシック音楽の教育は進歩し、志す若者の数も数万倍とも思える現代ですから、
数万人のモーツァルトが現れるはずですが、そうはならないものなのです。
ジャズを知るソンルイ、アニソンを知るのだめ、雑音を全身で受けながら成長した千秋、
みんなある意味汚染されて過去の楽聖とは違う世界の住人です。

単に天才だから成功して終わりと言う物語ではない、
現代に生きる若者の不安や希望を未来に向けて拡散させるようなラストは、
良く考えられたもので、純粋に感動出来ました。

この作品はただの少女コミックではない。
多くの音楽家の夢と挫折を吸収しつつ膨らんだ叙事詩です。
この小さな恋の物語から、未来にこそ読み継がれるべき普遍性を感じました。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 23

70.4 10 クラシック音楽アニメランキング10位
ピアノの森(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (256)
1120人が棚に入れました
 森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公の一ノ瀬海が かつて天才ピアニストと呼ばれた阿宇野壮介や 偉大なピアニストを父に持つ雨宮修平などとの出会いの中でピアノの才能を開花させていき やがてショパン・コンクールに挑戦するまでを描く、感動のストーリー。

声優・キャラクター
斉藤壮馬、諏訪部順一、花江夏樹、白石涼子、大地葉
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

セ カイ イチノ ピアニスト

(※ 2018.7.6の最終投稿の全文を、当時の文章は極力残す形で細部まで推敲しました)

<第1期(第1話から第12話)までの試聴後の総評>

同期の「ひなまつり」は、スタッフの原作愛がアニメを原作以上にしていたと感じたのとは対照的に、本作は、スタッフに原作愛がたりないと感じました。

特に人物の作画レベルが低いのと、内容の不用意なカットで原作キャラの魅力が半減している場面が多かった。

尺の制約の中で原作の構成を上手くアレンジして面白い所をより面白くしたり、簡略したとしても、本来の感動を損ねないような工夫が十分に足りていたとは思えなかった。

以上から結局、ダイジェスト感ばかりで12話以外は、ほとんど盛り上がれませんでした。

第1期全12話で、カイのショパンコンクールデビューまで描くには尺がどう考えても足りない。せめてもう半クールでもいいから話数を加えて、カイの修業時代と誉子のエピソードを丁寧に描いて欲しかったです。

<物語とキャラについて>
ネタバレレビューを読む
<作画について>
ネタバレレビューを読む
<その他>
ネタバレレビューを読む

以下は、視聴前&視聴中レビューですが、かなりの長文です。
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 30
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

音楽ものとしてはわりと底辺 残り12話に期待

2018.07.04記


原作未読 ※すごい良いらしい

全24話の触れ込みですが、いったん12話まで放映されたものを視聴。
原作者一色まことさんの作品はスピリッツを毎週読んでいた頃お世話になりました。この原作もすごい良いらしいです。

直前スペシャルで、期待値上がってました。
なんでもコンサートホールをキャプチャ取ってCGで再現し、ダイナミックな演出を可能にしたとか。実際ピアノを弾いてる人のキャプチャ取って演奏シーンに反映させたとか。キャラに合わせた演者を用意したとかとか。
ストーリーか演奏シーンかどちらかで魅せてもらえればOK!の心持ちで視聴開始です。


あらすじは天才肌の主人公一之瀬海とサラブレット努力型の雨宮修平という二人のピアノ少年が出会い成長し、という物語になります。
努力型は置いといて、森に捨てられたピアノを鳴らしているうちに音の感覚や人の心を揺さぶる演奏力を身に着けた主人公という設定は興味深いものでした。


結局、、、

『意欲作』といったところでしょうか。
ネタバレレビューを読む


物語が駆け足で、ここが盛り上がりどころなんだろうなという場面でもそれまでの人物の背景描写が薄くて感情移入しにくい。
声優さんは安定したいい演技をしている。
OPEDも物語に沿った良い内容。出演もされてますが、悠木碧さんの落ち着いたED曲なかなか良かったです。
途中で切るほどではないけど、おそらくいろいろ端折ったんでしょう。話が飛んでいるように見えることで、起伏が生じずやや平坦な印象を持ちました。


さらに演奏シーンの多用は諸刃の剣になってしまったとも思います。
 ※劇中の演出に触れてるのでいちおう伏せときます

ネタバレレビューを読む

それと演奏の描写について

美しい音色なんですが、残念ながら私には違いがよく分からない。
ネタバレレビューを読む
もう少し、曲の背景や持つ意味だったり、その曲を何故選択したか?のストーリー性など絡めても良かったんじゃないかと思います。


残り12話待ちですね。今のところイマイチです。



■余談 ※本作と四月は○の嘘のネタバレ込み

【ショパン バラード第1番ト短調 作品23】

この曲名でピンと来た人はそれはそれですごいですよ。

ネタバレレビューを読む



-----
2019.09.04追記


視聴時期:2018年4月~6月 リアタイ視聴

2期と言うべきか後半と言うべきか残りも視聴完了。
期待の急浮上とはいかなかったもののやや盛り返した感あり。
ピアノの音色は文句なし。



2018.07.04 初稿
2019.09.04 追記

投稿 : 2025/03/01
♥ : 51
ネタバレ

ezo さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

作画と尺に泣かされた名作

1話目感想
ネタバレレビューを読む

2話目感想
ネタバレレビューを読む

3話目感想
ネタバレレビューを読む

4話目感想
ネタバレレビューを読む

5話目感想
ネタバレレビューを読む

6話目~8話目
ネタバレレビューを読む

9話目感想
ネタバレレビューを読む

10話目感想
ネタバレレビューを読む

11話目感想
ネタバレレビューを読む

12話目感想
ネタバレレビューを読む

総評
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10

64.0 11 クラシック音楽アニメランキング11位
金色のコルダ~Primo Passo~(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (170)
1111人が棚に入れました
星奏学院は音楽科と普通科が併設された伝統ある高校。普通科2年生の日野香穂子は、ある日、学院に住む音楽の妖精・リリに見出され「魔法のヴァイオリン」を託されてしまった。魔法のヴァイオリンを手に権威ある学内コンクールに挑む事になった香穂子だが、コンクール参加者は、音楽科のエリートばかり。香穂子を取りまく恋、友情、そしてコンクールの行方は…。(公式HPより)

おつかレイア さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

何度も繰り返し観てしまう。

原作はコーエーから発売されている有名乙女ゲームです。

私は「金色のコルダ」「金色のコルダ2」をプレイ済みで、漫画化しているのを知らずアニメから入りましたが、あの原作のあるかないかわからないストーリーをよくここまで消化したなという印象です。キャラの特性やテーマをわかりやすく盛り込みつつ、それぞれの音楽との向き合い方や成長のストーリーをオリジナルのエピソードや設定を交えながら非常に上手く描かれています。恋愛ものというより青春ものといった感じです。

ある日妖精を見てしまったことから学内音楽コンクールに出場することになってしまった普通科の主人公・香穂子が、魔法のヴァイオリンの助けを借りて初めて音楽の世界に足を踏み入れることになる。初めは右も左もわからず戸惑うも、コンクールに関わるうち次第にヴァイオリンに魅せられ、何よりも音楽を愛するようになるその過程と、それ故の苦悩と葛藤…このあたりが一番の見どころでしょうか。
クラシック音楽というひとつのジャンルを通し、憧れ、努力、情熱、友情といったかけがえのないものを得るという、まさに青春物語の王道といえます。(ライバルと切磋琢磨の要素がもっとあればより面白かったかな?)
主人公・香穂子のキャラクターも、ゲームでは無個性(ドラクエのようにしゃべらない)だったのがほどよく味付けされていて、嫌味なくバランスのよい可愛らしさになっていると思います。

ただ漫画ほどではないですが、最終的にみんなが香穂子を好き好き逆ハーレム状態になるので、これをほくほくととるかウンザリととるかは人によるかと。メインヒーローとがっつりくっつくような恋愛模様は見られませんので、恋愛ものを期待されてる方はご注意を。学生らしい甘ずっぱいドキドキは十分に堪能できます。音を合わせるというだけの行為が、直接的なスキンシップよりよっぽどロマンチックであることを知りました。

しかしこの作品の醍醐味はなんといってもやはり『音楽』でしょう。劇中で流れるプロの奏者による素晴らしい生演奏は聞きごたえ十分。
基本的には女性向けですが、男女問わず音楽好きな方に是非観てもらいたい作品です。クラシック音楽がますます好きになります。
ちなみに私はこれの影響でヴァイオリンを習い始めました(笑)

投稿 : 2025/03/01
♥ : 5

ねるる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

真摯に音楽に向き合う姿を描く、金色のコルダアニメシリーズ第1作

原作ゲーム未プレイ。2006年放送。全25話

音楽の妖精"リリ"に出会い、魔法のヴァイオリンを託された主人公"日野香穂子"が、仲間たちと共に本気で音楽に向き合っていく成長物語を描いた作品。

乙女ゲーム原作ということで甘めなのかなと思いきや、甘さより音楽、楽器に向き合う姿が印象的な作品でした。学校生活の場面も少なく、ほぼ音楽の話なのでラブコメを期待してるとがっかりするかも。

主人公の、空気を読まないデリカシーに欠ける発言が気になる時もありましたが、真面目で努力を怠らないのでプラマイゼロな感じでした。攻略キャラの男の子たちも、元気系から俺様系、天然系にクール系正統派までいますが、飛び抜けて癖強でもなく皆優しくイケメンなので文句なしで良かったです。
声をあてる声優さんたちも、森田成一さん、伊藤健太郎さん、谷山紀章さん、福山潤さん、岸尾大輔さんと豪華だし、特に久しぶりに聞くクール系のきーやんは凄く良かったです。キャラもいい。

物語の途中に入る楽器演奏場面は、音が素晴らしく、こだわって作っているんだなという制作側の力の入れどころを感じました。キャスト表に演奏者の名前が記載されているのもなんか良かった。ヴァイオリンもフルートもチェロもトランペットもピアノもクラリネットもどの音も好きだった。

たまに主人公がうざくなりつつも、成長物語として安心して見れるし、楽器演奏の部分のクラシックも楽しめるので子供から大人まで楽しめる作品と思います。エンディング後のリリのワンポイントクラシックのコーナーは音楽への知識が得られるのも楽しかった。
少々古い作品ですが、25話安定した面白さがあるので、音楽系クラシック系の作品楽しみたい時オススメです。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 7

koaki さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

順序は逆だけど『うた☆プリ』のクラシック版ファンタジー

乙女ゲーム原作、未プレイ。
音楽に関しては素人だった主人公が、リリという音楽を司る妖精に選ばれ、
学内音楽コンクールに出場することになる。
最初こそ、魔法の力でなんとかバイオリンを演奏するが
バイオリンに魅了され、音楽が好きになるにつれ
みんなを騙しているという罪悪感を持つようになり苦悩する。
クラシック音楽を通して苦悩、葛藤、友情、努力を描いた
青春王道ストーリーです。

本作の方が先だけど、最近で言うところの
「うたの☆プリンスさまっ」のクラシック版ってところです。

逆ハーレム状態だけど恋愛にはならない。
主人公で作曲家志望の七海 春歌役が、
普通科でバイオリン未経験の日野 香穂子

他のアイドル達が、学内音楽コンクールに出場する音楽科の面々
最初アイドルに興味のなかった愛島セシル役が、
サッカー部の土浦 梁太郎
ミラクル学園長が、妖精のリリってところかなぁ

バイオリンだけでなくピアノやフルート、チェロ、トランペット等
手軽にクラシック音楽も楽しめるし、キャラの見せ方もうまいので
安心して観られると思います。
音楽モノは観るとはまるので避けていたんですが
気になって観だしたら止まらなくなりました(^◇^;)

投稿 : 2025/03/01
♥ : 6

62.9 12 クラシック音楽アニメランキング12位
ハーメルンのバイオリン弾き(TVアニメ動画)

1996年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (21)
135人が棚に入れました
月刊少年ガンガンに連載された同名コミックを『機動武闘伝Gガンダム」の今川泰宏によるシリーズ構成でアニメ化。青年ハーメルと少女フルートが暮らす辺境の村を魔物が襲撃。実は公国の王女であるフルートが魔物の狙いだった。ハーメルは特大のバイオリンによる魔曲を奏でて魔物を撃退し、フルートを公国へ送る旅に出発。だが到着したハーメルは大魔王ケストラーの息子として捕まってしまう。はたしてハーメルそしてフルートの運命は…。

声優・キャラクター
うえだゆうじ、飯塚雅弓、辻谷耕史、緒方恵美、千葉繁、島本須美
ネタバレ

おなべ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

今はいない子供のための子守歌

原作は渡辺道明による漫画作品。
アニメ版を全話見た後に、原作漫画を立ち読みしたのですが、本当に何もかも違うんですよね…。


原作はシリアスな物語の最中に随所に突拍子もないギャグが挿入される特異な作風に対し、アニメはギャグ要素ほぼなし(始めの4話くらいには少しだけあります)のシリアス一辺倒。元々が暗く重圧な物語であるのに、原作の持ち味でもあるギャグを一切抜いた為、全力投球のシリアスで鬱屈とした作品にアニメはなっております。

また、キャラクターの立ち位置や性格も異なっている為(ぶっとんだ原作キャラの性格が良い意味でも悪い意味でも”普通の人間”に解釈されています)ほぼ別人です。
原作の要素がほとんど無くなっている為に、所々で「黒歴史」「アニメなんてなかった」と言われるのも無理が無いかもしれないな…と思いました。



ただ、こちらのアニメ版は原作と違う作風ではあるものの、「ハーメルンのバイオリン弾き」を違う表現で描いた一つの物語として完成されていると見終えて感じました。

人と魔族の間で葛藤する主人公ハーメル、王女の宿命を背負わされたヒロインのフルート、憎しみと友愛を彷徨う親友のライエル、復讐しか知らない愛に飢えた孤独の天使サイザー等、主要キャラクターの愛憎や情念に満ちた描き方。

そして運命に翻弄され続けたヒロインの最後の選択がとても印象的でした。悲哀に締め括られる物語(後味が悪いとも言います)、主要キャラクター達の想いの報われなさがただただ虚しく、やるせなくなりました。人が死ぬ全滅エンドではないのですが、想いを昇華出来ずに今後とも過去に縛られて生き続けなければならない結末は、もしかしたら死ぬ事よりも辛いエンディングなのかもしれません。

最後の…
ネタバレレビューを読む

物語を彩る田中公平氏が手掛けるクラッシック音楽も素晴らしいこと!
随所合わせて奏でられる音楽は、儚く美しい世界観を格段に魅了的にしています。音楽は多彩な楽器を用いた、まさしくこの作品に相応しいものばかりに仕上がっていました。サントラが是非共欲しいところです。


主に賛否が激しく別れるのは作画…でしょうかね。作画の質やキャラデザは毎回安定しているのですが(中島敦子氏のキャラデザは耽美的で非常に美しい作画となっています)、兎に角このアニメ、動きが少ないです。静止画と動画のメリハリの演出は美しいと感じる反面、紙芝居と評される塩梅でもあるのでかなり好みが別れるところではないかと。

後は後半が駆け足気味なこと。少々説明台詞が増えて、余裕が無くなって来ている事が察せました。これはどうも、1年かけて製作するつもりが2クールになってしまったこともあるようです。それでも、物語を途中でぶん投げたり、二期に続くよ!と言わんばかりの尻切れトンボ状態で終わらずに、きちんと完結させたのは評価出来ました。



原作とは別物である為、アニメ版は評価が芳しくない模様ですが、美しい音楽・キャラデザ、暗く重い物語や、愛憎に満ちたキャラクター達の人間くささ、そして悲哀で余韻の残る物語の静かな終わり方に私はとても引き込まれて見れました。余談だと、たまーに鬱アニメとしてあげられています。強ち間違ってはいないかと…。
美しくも哀しいダークファンタジーが好きな方は是非。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 8

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

悲愴

朝、カーラジオつけたらベートーヴェンの「悲愴」がかかっていてまして、このアニメを思い出したのです。

魔物を倒す力をもったバイオリンを弾くハーメルと仲間たちが魔王を倒しに旅する話。

クラシック音楽が効果的に多用されてましたね。やり場なく心理的に盛り上げる〜!っていうシリアスな勢いにひたって乗っていける人にはかなりはまった作品だったようです。

ビシ!バシ!と斜めに影の入った止め絵(キメ絵?)も多用されてたのも特徴。
出崎統的な、こういう演出なんだなと受け止めてましたが、動いてナンボの見方をする層からは駄演出とシビアにみらられてたようで…。

原作漫画はくだらないギャクてんこ盛りで、要所要所の締めでシリアスな感じでしたが、TVアニメ版はシリアス一辺倒。シリアス過ぎてやがて裏返ってギャクに手が届くかもしれない…という勢いでした。
でもなんか、本気の勢いが気持ちいい作品でもありました。

監督 西村純二、構成・脚本 今川泰宏、キャラデザ中嶋敦子、音楽 田中公平。


映画版はギャク演出も入ってるということで、今更ながら観たいような気もしてきました。
あ、原作続編出てたんだ?

投稿 : 2025/03/01
♥ : 16

あらにぃ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

タイトルなし

原作を読み続けて ああ ギャグが邪魔だなと
思ってたので それらのギャグを完全に削除して
原作とは違う 流れとストーリで進められていく展開に ハラドキで
とても楽しめました

原作の ハーメルの苦悩 フルートの戸惑い ライエルの赦し
が 全部ギャグで誤魔化されてるのにたいし
キャラクター全員が自身の感情を
真摯に受け止め その 結果は良くも悪くもすべてを巻き込み終末を迎える
物語は きっと原作勢の求めるものとは違うのでしょうが
私は凄く好きでした

投稿 : 2025/03/01
♥ : 0

66.1 13 クラシック音楽アニメランキング13位
青のオーケストラ(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (157)
460人が棚に入れました
バイオリニストの父の影響で中1まではコンクールで活躍していた青野一(あおの・はじめ)。父親が家を出たことでバイオリンから離れ、無気力になってしまう。しかし、中3の秋に秋音律子(あきね・りつこ)と出会い、初心者の彼女にバイオリンを教えることで再び音楽と向き合っていく。 音楽の楽しさを再確認した青野は、秋音とともに強豪オーケストラ部のある海幕(うみまく)高校に入学。ライバルや仲間たちと切磋琢磨し、自分自身や過去と対峙し才能に磨きをかけていく。青野だけでなく、家族や才能をめぐるさまざまな悩みを抱える部員たち。それぞれに乗り越えながら、定期演奏会に向けて自分たちの演奏をともに作り上げていく。音楽で心を通わせていく、青春群像劇。

声優・キャラクター
青野 一:千葉翔也
秋音 律子:加隈亜衣
佐伯 直:土屋神葉
小桜 ハル:佐藤未奈子
山田 一郎:古川慎
立花 静:Lynn
羽鳥 葉:浅沼晋太郎
原田 蒼:榎木淳弥
青野 龍仁:置鮎龍太郎
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

NHKの目利きが一番の戦犯?!個人的には今年ワースト2かな/2023/11/23追記

【レビューNo.89】(初回登録:2023/10/9)
コミック原作で2023年作品。全24話。
「クソアニメのレビューを書く」という体験を1回しましたが、負のエネルギー
が体を突き動かすというか・・・
個人的にはクソアニメのレビューを書くのは、時間のムダだし腰を上げるのにそ
こそこエネルギーがいるので、基本「レビュー止めとこ」ってなるわけですが、
それでもレビューを書きたいと思うのは、相当なクソアニメってことなのかw

(ストーリー)
かつてはヴァイオリンのコンクールで数々の成績を収めていた少年・青野一。
しかし著名なヴァイオリニストの父親は不倫から家族を捨て離婚。そのため一
は父親を憎み、ヴァイオリンを止めていた。
しかし中学3年時、担任の武田先生の依頼から秋音律子にヴァイオリンを教える
ことになり、自身も自分と向き合い再び弾き始めることになる。
そして武田先生が指し示したのは、オーケストラ部の名門「海幕高校」へ入り、
音楽を続ける道だった。
秋音とともに海幕高校に進学した青野は、そこでコンクールでトップの成績を収
めていた佐伯直と出会い、ヴァイオリンの腕を競うことになる。

(評 価)
音楽モノってあんまり観ないのですが(特にバンドモノとか)それでも「のだめ」
をはじめ、「この音止まれ!」「ユーフォニアム」など「音楽モノに外れなし」
というのが今までの私の認識だったのですが、それを見事に覆してくれましたねw

・絶望的に魅力のない主人公
 ・陰キャっぽいビジュアルの悪さもあるんですが、なんか主人公に絶望的に魅
  力がないんですよね。
  一番の原因が、何をやりたいのかが分からず共感できない点ですね。
  まあ「メジャー:茂野吾郎」のようにギラギラしてればいいのかということ
  でもないのですが、まず最初の「海幕高校」もオーケストラ部入部も動機が
  曖昧なんですよね。
  「漠然とヴァイオリンが上手くなりたく、なんか流れのままに」
  って感じで。
 ・その後佐伯や先輩との出会いにより
  ・もっとヴァイオリンが上手くなたいという強い思い
  ・オーケストラ部のコンマスを目指すという大きな目標etc
  輪郭は強化されるのですが、見せ方が悪いのかこちらに熱く伝わるものがなく
  「ストーリー都合だけで、青野が本当にそういう思いを抱いているの?!」
  という感じで、何故か共感できないんですよ。
  ざっくりいうと、結局
  「青野一という『人間』をどう描きたいのか」
  をしっかり定めず、「設定」だけで見切り発車してるなっていう印象ですね。  
 ・あと何かにつけ「(不幸自慢の)親父が悪い」的な後ろ向きな点も。
  (この部分は、終盤で「自分の音楽の源流には父親がいる」と感じる描写が
   増え「原作者がやりたかったのはこれなんかなあ」って感じる部分はあり、
   改善の見込みはありそうですが)
 
・上っ面をなぞったようなストーリー
 ・ストーリーもなんというか、音楽モノや青春モノの外れのないテンプレ的な
  レールを集めてきて、その線路上で物語を走らせているという感じで、
  「『青のオーケストラ』という作品を観てワクワクする」
  といった満足感が皆無なんですよね。
  (以前レビューした「僕ヤバ」とは真逆だなっとw)
  王道展開というより、上っ面をなぞったようなストーリー展開って感じ?!
 ・あとストーリー構成のチグハグさも。
  主人公をろくに描いていないのに、高校入学早々秋音と(もう一人のヒロイ
  ン?)小桜ハルの中学時代の重いエピソードが展開され、そっちのキャラの
  深掘りが始まっちゃうので、なんじゃそりゃ?Iって感じで。
  それでいて青野の方は「いつ魅力的になるんや」って期待してたら、上述の
  通りでアニメ終わっちゃったよとw
  そして秋音の方も中学時代は魅力的なキャラに映ったのに、高校に入り上述
  エピソードが終わると、なんとなく埋没しちゃったなっと。 
 ・それに「名門:海幕高校」という設定も、まるで活かせていないのも致命的。
  原田や羽鳥がもっと魅力的に描かれていれば作品の見え方も違っただろうに、
  この辺も描写が甘く「ただのいい先輩やん」って。
  また顧問の鮎川先生も厳しく怖いらしいが、作品を観る限りいうほどかと?
  部の方針なのか分からんが、「ユーフォニアム」と比べてもなんか緊張感が
  足りず緩くないかと。空気にメリハリ感がなく、作品的には「名門校たる所
  以はどこにあるのか」よくわからんレベルだなっと。
  (時々それっぽいセリフや描写は入るが、作品としての一貫性が確立されて
   いないから「点」で終わり、そもそもアニメとしての演出も出来が悪いの
   で説得力がないんだよね。)
  高校では部活のシーンが大きなウエイトを占めるのに、ここに独自の面白さ
  がないとか、一体どういうことやねんとw

・最大の隠し玉も不発?!
 ・この作品最大の隠し玉は(以下重要ネタバレ)
  ネタバレレビューを読む
 ・この作品も全体的にイベント頼みで、それに沿って人物を動かしてるだけで、
  結局「人間」をしっかり描いていないんですよね。
  個人的に魅力的だったのは、中学時代の秋音だけでしたね。
  (あとは武田先生位で、思えば中学時代がこの作品のピークだったかなっとw)

総評としては
・音楽モノをやってる割には、そこに特筆すべきエッジがある訳でもなく
・では青春群像的なものを見せたいのかといえば、「人間」をしっかり描いてい
 ないから、主人公以下主要キャラが魅力的に見えず
「『青のオーケストラ』という作品は何をやりたいのかよく分からない」
まま終わってしまったという印象ですね。
そもそも「著名なヴァイオリニストの父親」以外は「音楽モノ」である必要性が
あったのかという、根幹から疑いたくなるレベルで
「『音楽モノ』の作品として、『音楽』とどう向き合っていくのか」
という観点を軽視しすぎでは、という印象を受けました。
(それっぽい曲の解釈を入れたから、『音楽』と真摯に向き合った作品というの
 はちょっと違うだろうっと。それじゃこちらに響くものがない訳で、この辺り
 も『主人公の魅力のなさ』に大きく影響してるように感じる)
それに全般的にアニメとしての演出も弱く、センスが感じられなかったかな。
  
NHKで放送する作品って、どこか1本芯が通っていて「さすが」って感じが強かっ
たのですが、この原作のどこが琴線に触れたのか?
単純に出来の悪さなら「なろう系の量産型異世界モノ」など下はいくらでもある
でしょうが、この辺とはそもそも予算をはじめ土俵が違いますからね。
NHKがバックでこの出来とか正直救いようがねーなとw
そういう意味では、個人的には今年ワースト2の作品だといえるかも。
個人的な見解ですが、一番の戦犯は
「NHK、なんでこんな作品選んじゃったの?!」
目利きが曇ったのか、こんな上っ面だけの作品に騙されるんじゃねーよと。
(クラシック音楽という題材と「小学館漫画賞」少年向け部門受賞という看板だ
 けで選んだんじゃねーのかと)
2期決定らしいですが、なんだかなあって感じですね。
それよりも「アオアシ2期」をさっさと制作しようよとw

(訂 正)
・今年ワーストワン → ワースト2
 「Buddy Daddies」が今年のアニメってことが抜け落ちてました。
 個人的にはこの作品が断トツのワーストワンですね。
 でもそれに次ぐ印象の悪い作品かなっとw

(2023/11/23追記)
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 19
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

最終回の演奏の見せ方がこの作品を象徴している。

「新世界より」を新たな高校生活に仮託して、演奏時に想いを馳せるというのは、誰でも思いつく展開だよなあ、と思っていたので意外ではありませんでした。つまり、普通の終わり方でした。

 最終回なので、演奏にモノローグを乗せるのは邪魔ですけど、そうしないと物語にならないのは理解します。
 しかし、「のだめカンタービレ」でこの演奏の時間が終わってしまうのが残念だ、というモノローグそのままじゃないですか。それまでのドラマが個人的でオーケストラとしてのストーリーが弱い分、そのモノローグには違和感がありました。このオーケストラにそんなに思い入れするほど何かあったかなあ?と。

 で、第4楽章は黙って聞かせてほしかったなあ…せめて心情のモノローグかカットイン程度に留めて欲しかった。この辺はやはり「響け!ユーフォニアム」の1期最終回の見せ方を見習ってほしかったです。

 で、指揮者のドヤ顔。このドラマの最後の演奏で最後はそのクローズアップが正しいの?誰の物語?指揮者の物語?まあ、いい演奏ができたという表現なんだとは思いますが…

 原作はどうか知りませんが、やはり音楽アニメとしてCGを含めて、演奏の見せ方に不満が残る作品でした。

 さて作品です。部活ものとしては苦難がないとドラマにはならないでしょう。が、あまりにも苦労の作り方が、家族とか場外なんですよね…音楽に対する情熱とか、オーケストラ=いろんなパート、いろんな人がいて、その調和というドラマが必要だったのでは?指揮者の教師が強すぎて、その辺があいまいだったですね。

 楽器にそれぞれのキャラの意味性をのっけるようなキャラ付けでもないし…題名の「オーケストラ」に何を感じればいいのか全く分からないということと同様、最終回の演奏で何が言いたいのかさっぱりわかりませんでした。

 まあ、あまり深く入り込んでみていたわけでは無いので、これくらいで。演奏楽しみにしていましたが、本作に対する不満と同レベルで演奏の見せ方に不満は大きかったです。
 音楽の評価は5でしたが、最終回の不満の分、マイナス1で4とします。




以下、視聴時のレビューです。

4話 型通りの平凡な音楽もの。普通に面白いです。CGは気持ち悪い。

ネタバレレビューを読む


5話 断念時のレビュー。

ネタバレレビューを読む


12話 追記です。「新世界より」やるのかあ…音楽だけ聴こうかなあ…

ネタバレレビューを読む

14話の前半の練習は良かった。音楽がいいとCGは(多少)許せました。

ネタバレレビューを読む



23話 「新世界より」を演奏するということで毎週チェックしてきましたが、音楽を描きたい作品なんでしょうか?

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 16
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青臭い心の振動が響いてくる

一度はバイオリンを辞めた元・天才少年は、高校でオーケストラ部で再び演奏し始める。
そこで心を通わせる中で生じる様々な葛藤や成長を描く同名青春群像コミック(未読)のNHK Eテレ連続テレビアニメ化作品の1期目(全24話)


【物語 3.5点】
シナリオのバランスとしては音楽作品で青春しているというより、
青春している少年少女が音楽やってる。
そこを割り切れた視聴者などとだけキャッチボールが成立する、ハマるゾーンが狭い青春アニメ。
私は割り切れたので、また岸 誠二監督、構成・柿原 優子氏の『月がきれい』タッグは波長が合うのか、結構、満足度は高め。


序盤から主人公・青野一(はじめ)の中学時代から掘り下げ、海幕高校オケ部のエピソードが始まるのは3話から。
深掘りすると決めたキャラ回では主人公以外でも例えばネタバレレビューを読む など、
演奏は二の次にして思春期の心の揺れ動きにフォーカスし続ける。

音楽アニメとして期待したら青春エピソードが重た過ぎて入り込めない可能性大ですし、
部活アニメとして期待しても、キャラ掘り下げに尺を使い過ぎて2クールかけて、3年生最後のとは言え定期演奏会1回終えるが精一杯。
コンクールはどうしたwとなりかねません。

大体、青野や佐伯の昼ドラ並みにドロドロな過去なんて、音楽アニメに必要なの?
と問われたら、必須ではないですよねと答えるしかないです(苦笑)

ただ必須じゃないんだけど、様々な青春を生きる少年たちが、
言葉にならない想いをぶつけられるのが音楽。
性格が違う者同士でも合奏すれば一つになれる。
だからクラシックは時代を越えて何度も奏でられる価値がある。

青春の中で音楽をどう位置づけるかの整理はできている作品だと思います。

終盤21話、ネタバレレビューを読む によるバイオリンは振動が共鳴し音を出す楽器。
心にも振れ幅があればあるほどよりいっそう音は豊かになる。
この音楽観は作品のあり方やテーマも代弁していると言えるでしょう。

あの回は青野が部活の青春を通じて心を開いて来た成果が、
過去の捉え直しを通じて感じられる。
本作らしい主人公覚醒回として印象に残っています。


21話までは物語4.0点だったのですが、ラスト2回に亘る定演回が思ったよりグッと来なかったので3.5点に。

演奏会自体はタップリ尺が取られているのですが、合奏は群像回想劇等のBGMに使われる構成。
本作を青春アニメとして割り切っている私にとっては音楽を脇に回す構成そのものには不満はないです。

ただ、その回想等の内容がサイドストーリー感があるシーン多めで、感動が脇に分散した感じ。
ネタバレレビューを読む の件など、中々の良シーンもあるにはありましたが。

せっかく尺を費やして衝突も繰り返して青春して来たのなら、
多少重複しても良いので、メインエピソードの熱量をダイレクトに伝える回想シーンをピックアップして欲しかったです。


私の心に一番響いた演奏シーンは、定演ではなく意外と8話のバッハ「G線上のアリア」だったり。
ネタバレレビューを読む 心の傷を共有する者同士が、2話分の尺と言葉を尽くしてもなお言い表せない想いを月夜に向けて音色に乗せて響かせた。
青春作品で音楽をやる意義を感じたワンカットでした。


【作画 3.0点】
アニメーション制作・日本アニメーション

物議を醸した演奏シーンでのCG。
CG自体のクオリティは悪くはない。
むしろ大人数による息が合ったオーケストラの迫力を演出できる利点もありますし、
表情描写まで対応して好感できる部分もあります。

ただ途中まで手描きで演奏する人物を描いておいて、唐突にCGに変わるのには違和感を覚えます。
CGに切り替わる度に、視聴の集中が切れる。
それだったら、いっそ楽器持ってる人間は全部CGにしてと何度も思いました。

日常シーンでの作画カロリーの著しい低減具合から見るに演奏シーンまで手描きで行けるだけの作画兵力は恐らくない。
だからと言って、フルCGアニメにするだけの技術力があるとも思えない。
全体的に制作体制が脆弱だったのではと言わざるを得ません。


このままだと作画基準点割れは必至ですが、どうにか3.0点キープしたのは、
ブルーを強調した画面作りが、私の好物だったから。
校舎から、制服から、主題歌アニメーション、主人公の髪色、名字まで青尽くしの多幸感。
ブルーがCGへの切り替えで切れかけた私の集中力を繋いだ命綱でした。


【キャラ 4.0点】
天才バイオリニストの父との愛憎を抱える主人公・青野一。
ドイツからやって来た宿命のライバル・佐伯直。
多少言葉をぶつけ合っただけでは解決しない。本気で喧嘩しないと分かり合えない。
2人を筆頭に、1話分のキャラ回では処理しきれない豊富な設定量で
(一部視聴者を胃もたれさせつつw)
心で響かせる音楽を表現。

その設定量が、脇に至るまで敷き詰められている辺り、
本作が心を重視していることが伝わって来ます。
終盤、ネタバレレビューを読む まで掘り下げられたのには舌を巻きました。

私が地味に好きなのは秋音律子と立花静の関係性。
初心者に苛立つ経験者というよくあるギスギスの構図なのですが、
ネタバレレビューを読む
コクが深いカップリングだなと思います。


【声優 4.0点】
主人公・青野一役の千葉 翔也さん。
本作では時に声を荒らげて本音をぶつける熱い演技も交えて、
貧弱な作画ではカバーし切れない心の葛藤も好表現。

岸 誠二氏が共同監督を務めた『よう実』でも主演したチバショーならば観るというのが、私の主たる視聴動機に。

チバショーの相手になった佐伯直役の土屋 神葉さん。
序盤は繊細な美少年ボイス中心でしたが、以前主演した『ボールルーム~』でも熱情をぶつけて来た土屋さんとなら、
ライバル舌戦もヒートアップするに違いないとの期待も私の視聴を後押し。
そして、2人は期待通りの掛け合いで魅せてくれました。


【音楽 4.5点】
作中クラシック曲は洗足学園フィルハーモニー管弦楽団を基軸に、
キーキャラクターの演奏にはプロのバイオリン奏者も当てて再現。
その演奏で主人公や周囲の人生を翻弄した青野父の奏者には、米国の世界的奏者・ヒラリー・ハーン氏を招くなど、
奏者とキャラの格もグローバル規模で調整。

個人的にMVPだったのが初心者・秋音 律子の演奏を担当した山田 友里恵さん。
下手くそなんだけど、何か心を動かされる。青野も思わずまたバイオリン弾きたくなっちゃう。
このさじ加減が絶妙でした。


クラシックにはそれほど詳しくない私でも聞いたことある曲ばかりだったのが親しみやすかったです。
特にライバルとの決着を付ける曲などとしても頻出したドヴォルザーク「交響曲第9番『新世界より』」第3楽章は、
この夏の私の作業用BGMとしても重宝しました。


OP主題歌はNovelbright「Cantabile」
鬱屈から立ち上がる歌詞世界に合わせて、ストリングスもアレンジしながら高揚感を表現した良作青春ソング。

ED主題歌は「夕さりのカノン feat.『ユイカ』」
お笑いコンビ・霜降り明星の粗品さんが作詞・作曲を担当。
痛切さもあるOPとは対称的に楽しげなムードのED。
例え本編が修羅場でも、EDで音を楽しむと書いて音楽を感じられる貴重なひと時を提供。

ネタ作りに作曲と創作に貪欲なお笑い芸人のバイタリティーには圧倒されます。


【付記】
放送終了後、2期制作も発表。

メインキャラの過去の問題には概ね解決の道筋がついたと思われるので、続編はもう少し音楽、部活アニメ寄りにシフトするのでしょうか?
もっとも青野、律子、ハルのトライアングルに引火などしたらまた別でしょうがw
いずれにせよ続編視聴の機会があれば方向性を示すサインは見逃さないようにしたいです。

あとは作画兵力をもう少し増強していただければw

投稿 : 2025/03/01
♥ : 23

58.4 14 クラシック音楽アニメランキング14位
クラシカロイド(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (90)
338人が棚に入れました
音楽で町おこしをする地方都市に住む高校生・歌苗(かなえ)と奏助(そうすけ)の前に、“クラシカロイド”を名乗るベートーベンとモーツァルトが現れ、2人が奏でる音楽「ムジーク」の奇妙な力で、星が降ったり、巨大ロボが現れたり、騒動が起こる……というストーリー。バッハ、ショパン、シューベルトなどのクラシカロイドも登場する。

音楽はクラシックの名曲をポップス、ロック、テクノなどにアレンジしたものが使用される。


声優・キャラクター
杉田智和、梶裕貴、小松未可子、島﨑信長、鳥海浩輔、能登麻美子、前野智昭、遠藤綾、M・A・O、楠大典、石田彰
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

なかなか楽しくて個人的には好きなんだけど、正直コメントに困るアニメ

2016年10月から2017年3月放送。全25話。第2期が2017年秋放送開始予定です。
本作は続編に繋がる部分を示さず終わったのでストーリーも星評価しています。

一言で言うと、うっすらメインストーリーがあるシュールギャグアニメ。
全体の印象はシュールなNHK番組とサンライズのアニメーションの融合作品という感じです。私はどちらの雰囲気も好きなので、馴染んだ感覚で楽しめました。ロボットアニメみたいな演出もたまにあって凄く笑ったw
結構楽しみにリアタイ視聴していたものの、正直感想に困り今まで放置してしまいましたw

制作側がフリーダムで楽しんで作っているのがわかりそれが良い所でもありますが、嫌いな人もいるだろうと思います。シュールギャグにもシリアスにも振り切っておらず、本筋がわかりやすいと言えないのもちょっと見る人を選ぶかな。


秀逸な服飾デザインと地味なキャラクターデザインが好きで、それにマッチした明るくのどかな背景が個人的には見やすく、ムジークシーンはカラフルかつファンタジックで、そのギャップが映像として良かったです。

音楽は本作のコンセプトでもあり、全体的に素晴らしかったです。ムジークを使ったEDが凝っていて、毎回の見所でした。ムジークのCDとその原曲を収録したCDがNHKから出ていますが、アマゾンのクラシックCD売り上げランキングで結構高い順位につけていたのが何だか面白かったですw
クラシックの原曲を現在活躍中のアーティストが「ムジークプロデューサー」としてアレンジし、それを劇中で使うのが本作の売りで、一人の音楽家を決まったアーティストが担当。
リストのハンガリアンラプソディとベートーヴェンの第九が以前から好きなので使われて嬉しいですね。
サウンドトラックも、一部クラシックのイントロを使用している部分もあったりでとても良かったです。


【良かった所】
ネタバレレビューを読む


【気になった所】
ネタバレレビューを読む



かなり好き嫌いが分かれるだろう作品ですが、私は女性キャラの描き方が好みだったこともあってなかなか楽しめました。
2期も視聴しますが、監督など一部の主要スタッフが変わるのでどんな風になるのか読めませんが、クラシカロイドらしい続編になればいいなと思います。(2017.9.21)

投稿 : 2025/03/01
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

NHKのオリジナルアニメーション

NHKの作品…と聞くとどうしても食指が動いてしまいます。
何故ならこれまでNHKでは獣の奏者エリン、こばと。バクマン。十二国記や精霊の守り人など、しっかりと腰を据えて制作された作品が多い上、「お気に入りの棚」に入れるほど大好きな作品が放送されているからです。

「NHKの本気」というキーワードを何度も目にした事があります。
基本的に真面目な作品ばかりですが、それと同じくらい感動する作品も多いと思います。
もう、こばと。やバクマン。などでどれだけ号泣した事か…
だから私の中でNHKの作品は外せない作品となっています。

この物語の舞台は浜松市…ここの「音羽館」という古い洋館がこの物語の中心になっています。
現在のこの洋館の大家さんは高校生の音羽歌苗…元気で心優しい女の子です。
彼女は音羽館をとても大切にしていました…正確には音羽館での思い出…ですけれど。

この音羽館は中々凄くて、1階の広間には自動演奏機能付きのパイプオルガンが設置されているんです。
歌苗の祖母が生前の頃、友達を呼んで舞踏会を開くほどの音羽家は結構な資産家だったんです。
それが父親の代で資産を使い果たし現在に至る…という感じです。
でも、歌苗は音羽館で昔の様な華やかだった時代を取り戻したい、が今の彼女の夢…

ところが、事態は妙な方向に進んでいく事に…
その日はいつもの様に歌苗と同じ高校生の神楽奏助が音羽館に入り浸っていたところ、突然ベートーヴェンに瓜二つの男性が音羽館を訪ねてきたんです。
それにその男性…何故か餃子へのこだわりが半端無いというおまけ付き…

そしてこんな珍事は更に続き…
気が付いてみると、モーツァルト、ショパン、リスト、シューベルトまでもが音羽館に押し寄せてきたんです。
来た理由はみんなそれぞれ…ですが結果的に居座ってしまうんです。
音羽館にそれだけたくさんの部屋がある…というのも居座る理由の一つなんでしょうけれど…

彼らこそがクラシカロイド…クラシック音楽の偉人さんに瓜二つの風貌を持つ彼らでしたが、その名前が付く理由は他にもう一つありました。

それは、物語開始早々…音羽館の権利が第3者に渡っており、突然取り壊しが決まり工事業者が押し寄せてきた時の事です。
ベートーヴェンに瓜二つの男性が、自分の居場所を守るため「ムジーク」という特殊能力を突如発動させたんです。
その能力は、発動させた音楽家が作曲した音楽を背景に突然変異が起こる、という類のもの…
取り壊しを阻止できた音羽館と大家の歌苗…そしてクラシカロイド達との奇妙な暮らしが始まり物語が動いていきます。

まずこの作品で面白いのはキャラの設定です。
リストが女性だったり、シューベルトは史実通りベートーヴェンを敬愛していたりと設定はハチャメチャ…
そしてお互いがぶつかった時などは、どれだけ音楽に対して貢献したかのバロメーターである「偉人度」が持ち出されたり…
この「偉人度」ですが、気にする人は気にするんですね…
皆さん有名な方ばかりだから、そんなの気にすることないのに…なんて思いますけれど。

そしてクラシカロイドが何のために生まれてきたのか…完走して振り返ってみるとこれも謎だったように思います。
だから生き方がみんな羨ましいくらい自由奔放…
毎日を面白おかしく過ごす人もいれば、研究や趣味に没頭したりと様々なんです。
彼らの生前にはこれほどの娯楽はありませんでしたので、夢中になるのも分かりますけれど。

彼らがいかに有名な音楽家でも、そればかりなら物語は中だるみしてしまうと思います。
でもそんな心配は杞憂だと思います。
何故なら彼らは事件を起こすスペシャリストでしたから…
それに…登場するクラシカロイドは先に記載した方が全てではありません。
彼らと生活を別にするクラシカロイドが考えている事とは…?
物語は結構濃密だったように思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、「ClassicaLoid -クラシカロイドのテーマ-」
初めてオープニングを聴いた時、ギターサウンドに懐かしさを感じました。
もしかして…と思ったら案の定、布袋寅泰さんが作曲に参加されていたんです。
クラシック音楽をベースにアレンジというスパイスを加えた上、布袋さんという彩りが加わったこのオープニングは何気にお気に入りで毎回聞いていました。

2クール全25話の作品でした。
物語としては綺麗に幕が下ろされたと思いますが、これがNHKの凄いところ…
何と第2シリーズが秋アニメで放送されるんだそうです。
確かに、謎は残っていますが普通の販促作品ならここで終わっても十分なところ、NHKはしっかり突き詰めてくれるんですよね。
こういう姿勢はとても嬉しく思います。
10月からの放送を楽しみに待っています。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

確かに評価に困る作品ですねw。

かつて放送当時に1話をお試し視聴した記憶はあるのですが
「何か訳が分からないアニメだな~」と自分の中でパッとせず
実質1話切りしていました。

数週間後、出張先のビジネスホテルでたまたま何話かが放送されてるのを観て
「意外に面白いかも・・」って感じてたけど、結局放置してました。

で、先日何気にTVつけてたら2期1話を偶然視聴することとなり
「あれ?、けっこう面白い??」と興味を惹かれ
再度1期1話を視聴した結果、ハマってしまいました!!。

~序盤での印象です~
・杉田さんボイスがいい!。勢いで作品をひっぱっていってくれてる感が^^。
 序盤数話での次回予告の語りは四畳半の主人公彷彿させられたw
 ・・っていうか、後から気付く石田さん、能登さん他、超豪華声優陣!!!。
・今みると、けものフレンズのクラシック奏者版!??。さらにハッシー!!?。
・クラシック音楽のことほとんど知らない自分にとって
 すっごくいい音楽教材のように感じます。布袋さんも参加されてるのですね
 ・・っていうか、後から気付く他にも超豪華アレンジャー陣!!!
 サントラとかあるなら買ってしまうかも・・・。
・すごいカラフルで目まぐるしく変化する「ム○ーク」
 自分が一番好きな某作品のゼロ時間やアプリボワゼ的な魅力を感じてしまう。
 他にも、お屋敷?に夕日が差し込んでくる時間帯の黄色っぽい感じ~柿色っぽい
 色合いと雰囲気も自分が一番好きな同作品を思い出させます。
・EDの絵画的な描写は、ギアスのED思い出しました
 こういうタッチでの表現いいですね!!。

~中盤での印象です~
・何この神作品(音楽の)!!
・チャイコちゃん、幼○戦記だったのですねw
・チャイコちゃんの方言なまり、かわいすぎます!!!♪
 一番のお気に入りキャラになってしまいました^^。

~終盤での印象です~
・なんか中盤以降、本筋を見失っているような・・・
 無理矢理何かでつないでる感というか、ストーリーも雑というか・・
・モツさんのキャラ付けはもちろん必要だと思いますが
 ちょっとしつこく感じてきて、ウ○さの方が強くなってしまった?。
 ギアスでのマオ思い出してしまいました。
・序盤から中盤で感じた「何この神作品(音楽の)」という
 自分の感想を返してほしいw
・作中でアレンジ曲を流すのはもちろん良いと思うのですが
 さっき流れたばかりでまたEDでも流すのは逆効果では??。
 むしろEDでは原曲で流してもらって両面から楽しませてほしいかな?。

~ラスト2話での印象です~
・予想外だけどかなり盛り上がって楽しませてもらいました^^。
・サムライフラメンコ思い出しましたw。いろんな意味で。
 (そういえば杉田さん繋がりでもありますね)
・やっぱチャイコちゃん最高でした!
・ラストは完璧に〆てくれたので、トータルでの満足度は非常に高いものでした。
 終わり良ければ全て良しです!!!!!。


~あとがき~
・今まで持っててもほとんど聴いたことのなかったクラシックCDを
 たま~に聴いてみたりするようになりました♪。
 ムジークと聞き比べることで、それぞれに今ハマりつつあります♪。
 クラシック音楽への興味を持たせてくれたという点において
 本作は非常に素晴らしかったです!!。
・アニメ本編については・・
 神作品になり損ねた作品?、いや、やっぱり神作品!??っていう印象ですw。
 非常~に惜しい感じですが、そういったシュールさを狙って作られている
 と思いますので、作り手さん的には思った通りなのかもですね。
 細かいところでもかなり不意に笑わせてもらいました。
 顔文字の使われ方も大好きでした!。
・まだ1周視聴のみでの感想ですので、さらに2周3周すると
 どんどんいろんな深みが増していく作品のように思えます!!(確信)。
・観てよかったし、結果大好きな作品となりました^^。

・まさかの2期!?で、さらにクラシカロイドが増えてくると思われますので
 登場キャラに関連付けて原曲もどんどん楽しんで知っていきたいと思います!。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 6
ページの先頭へ